デジタル地図サービスの独HEREは現地時間2016年12月27日、中国向け位置情報サービスの開発に向け、中国Tencent Holdings(騰訊控股)および中国NavInfo(四維図新)と戦略的パートナーシップを構築すると発表した。

 HEREは、ドイツの自動車メーカーBMW、VolkswagenのAudi、Daimlerによるコンソーシアムが、2015年にフィンランドNokiaから約25億ユーロで買収した事業。現在、約200カ国でオンライン地図サービスを展開している。

 戦略的提携のもと、HEREとTencentは折半出資による合弁会社を中国に設立し、中国を含む世界のさまざまな産業を対象にした地図サービスの展開を図る。合弁会社を通じてHEREは中国向けサービスを拡大し、NavInfoの広範なデータを活用する。HEREとNavInfoは、自動運転車向けの高度な位置情報サービスの構築と配備でも協力する。

 また、TencentはHEREの地図サービスや位置情報ツールを、傘下の中国および世界向けインターネットサービスで採用する。両社は相互のサービス向上で協力するほか、新たなサービスや技術の開発機会を共同で探るとしている。

 戦略的提携とは別に、TencentとNavInfoおよびシンガポール政府投資公社(GIC)がHERE株式の合計10%を取得することでも合意した。2017年前半に手続きを完了する見込み。

 HEREは3社の出資額について明らかにしていないが、香港の英字新聞「South China Morning Post(南華早報)」(オンライン版)は、Tencentが4400万ユーロ、NavInfoが9700万ユーロ、GICが1億200万ユーロで合計2億4300万ユーロと報じている。高度な地図サービスは、自動運転車の実用化に欠かせない要素の1つとなっており、中国Alibaba Group(阿里巴巴)は傘下に中国AutoNavi(高徳地図)を運営し、中国Baidu(百度)は自身の地図サービスを自社開発の自動運転車に導入する予定。

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