米国の市場調査会社eMarketerがこのほど公表した同国のインターネット広告市場に関するリポートによると、2016年はすべての業界でネット広告支出額が増える見通し。ビデオ/ソーシャルメディア/モバイル広告が伸びているという。

 同社が推計する業界別のネット広告支出額比率は、「小売り」が21.9%で最も高く、これに「自動車」の12.7%が次ぎ、このあと「金融サービス」の12.2%、「通信サービス」の11.0%、「消費財/消費者向け製品」の8.7%、「旅行/レジャー」の8.3%、「コンピューター機器/家電」の7.6%などと続く。

 このうち、自動車の推計支出額は91億3000万ドルで、前年実績から22.4%増加する見通し。自動車業界は年後半にセダンを中心に販売が低迷したため、ネット広告に力を入れ、ブランド向上を狙ったビデオ広告やVR(仮想現実)広告、Facebook広告などを展開している。

 また、金融サービスの推計支出額は87億7000万ドルで、前年実績から19.5%増加する見通し。各社は業務の効率化やコスト削減を目的に、ネットバンキングやモバイルアプリを消費者に利用してもらいたい考えで、ネットへの露出を増やしているという。

 このほか、旅行/レジャーの推計支出額は59億6000万ドルで、前年実績から20.5%増加する見通し。この業界では、ホテルチェーンがオンライン旅行代理店から顧客を取り戻すためネット広告に力を入れ、とりわけ若者層のミレニアル世代向けたロイヤルティプログラムを積極的に展開している。一方でオンライン旅行代理店も、Facebookをはじめとするソーシャルメディア広告を導入するなど、ネット広告の支出を増やしているという。

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