佐賀大学とオプティムは2016年12月22日、医療に人工知能(AI)やIoT(インターネット・オブ・シングス)を活用する共同研究の成果を二つ発表した。一つは、深層学習を用いて眼底画像から目の疾患を診断する研究。もう一つは、救急隊員にスマートグラスを配備して搬送先の病院と現場映像を共有する研究である。スマートグラスはすでに緊急車両やドクターヘリで実用しているという。

 佐賀大学とオプティムは2016年3月から、企業などが参画するバーチャルな研究所「佐賀大学プロジェクト研究所」の一つとして、IT技術を活用した未来型の医療を研究する「メディカル・イノベーション研究所」を運営している。佐賀大学医学部の知見、医学部付属病院の臨床、オプティムのAIおよびIoT技術を組み合わせた医療を研究している。

 今回、一定の研究成果が得られたことから、取り組み内容を発表した。

 研究成果の一つは、目の血管を写した眼底画像の診断をAIで支援するというもの。臨床の現場から眼底画像の提供を受けて学習することによって、眼底画像から疾患を診断できるようにした。AIの活用によって疾患の早期診断が可能になるほか、診断精度が向上するという。特に、国内で視覚障害の上位を占める「緑内障」「糖尿病網膜症」「加齢黄斑変性」は、早期に発見して治療することによって視覚障害や失明を防げるという。

眼底画像の診断をAIで支援する
眼底画像の診断をAIで支援する
(出所:佐賀大学、オプティム)
[画像のクリックで拡大表示]

 もう一つの研究成果は、緊急車両やドクターヘリにオプティムの遠隔作業支援専用スマートグラス「Remote Action」を常備するというもの。救急隊員と搬送先の病院が、音声だけでなく映像も使って患者の状態を共有する。この状態で医師からの指示を遠隔で受けられる。この仕組みは、すでに佐賀大学附属病院の高度救命救急センターで実際に利用している。

救急隊員にスマートグラスを配備し、搬送先の病院と映像を共有する
救急隊員にスマートグラスを配備し、搬送先の病院と映像を共有する
(出所:佐賀大学、オプティム)
[画像のクリックで拡大表示]
センサーが収集した生体情報とスマートグラスを連携させる
センサーが収集した生体情報とスマートグラスを連携させる
(出所:佐賀大学、オプティム)
[画像のクリックで拡大表示]