欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会(EC)が租税回避問題で米Appleに最大130億ユーロの追徴課税を言い渡したことに対し、Appleは現地時間2016年12月19日、EU一般裁判所に不服申立の正式手続きを行ったと、英Reuters米Wall Street Journal(閲覧には有料登録が必要)が報じた。

 ECは2016年8月に、アイルランド政府がAppleに対して違法に課税を優遇していたとの判断に基づき、Appleに最大130億ユーロの追徴税を課すようアイルランド政府に命じた(関連記事:Appleに最大1.5兆円の追徴課税、「アイルランドの租税優遇は違法」とEU)。ECによれば、法人税率12.5%のアイルランドでAppleが2014年に納めた税金は欧州における利益のわずか0.005%だったという。

 Appleの法務顧問はReutersのインタビューに、「当社は都合の良い標的にされた。大きなニュースになるからだ」と不満を表し、ECはアイルランド当局の専門家が提出した証拠を無視したと批判した。Appleの広報担当者は「この問題は明らかに最初から結論ありきで扱われた。ECは一方的な行動を取り、規則を遡及的に変更した」と述べた。

 アイルランド政府もECの判断を不服として提訴しており、「ECは権限を逸脱している」との声明を同日発表している。

 一方、EC競争政策担当のMargrethe Vestager氏は、追徴課税を命じる判断に至った経緯の詳細な文書を公開した。130ページにおよぶその資料には、Appleの税顧問とアイルランド歳入当局者が1990年に開いた会合の記録などが含まれる。