NECは2016年12月19日、がん治療用ワクチンの開発・実用化を進める子会社サイトリミックを12月16日に設立したと発表した。独自開発の人工知能(AI)で実験結果のデータを解析し、新薬の候補物質の発見と実用化を狙う。今後5年以内に病院での臨床試験や製薬会社との共同事業化を目指す。

 「創薬分野において機械学習とスーパーコンピュータなどの技術を駆使し、新薬候補をいち早く発見したい」。同日会見に臨んだ、NECの清水隆明取締役執行役員常務CMO(チーフマーケティングオフィサー)はこう話した。

サイトリミックに参画する各企業のメンバー。右から3番目がNECの清水隆明取締役執行役員常務CMO
サイトリミックに参画する各企業のメンバー。右から3番目がNECの清水隆明取締役執行役員常務CMO
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 NECが提供するのは、ワクチンの候補物質を発見する「免疫機能予測技術」。山口大学や高知大学などとの共同研究で使用してきた。がん抗原となるたんぱく質のアミノ酸配列を実験で調べ、学習データとして使う。既に、肝臓がんや食道がんなどに対して免疫を活性化する物質を発見する効果も得られたという。

 サイトリミックの具体的な売上高の目標などは明らかにしなかった。資本金は3億6150万円。出資比率はNECが39.9%。バイオベンチャー向けの事業開発を支援するファストトラックイニシアティブのほか、SMBCベンチャーキャピタル、NECキャピタルソリューションなどが2016年12月19日に、第三者割当増資に合意しており、それらの出資比率は合計で60.1%となる。