米Appleは昨年と今年のルマン24時間耐久レースにおけるドイツPorscheの優勝を支えたとされる人物を引き抜いていたと、英Reutersが現地時間2016年12月16日に報じた。

 Appleが採用したのは元Porscheのテクニカルディレクター、Alexander Hitzinger氏で、ルマンを制覇したハイブリッドスポーツカー「Porsche 919 Hybrid」の開発を指揮した人物。PorscheはHitzinger氏が春に退社していたことのみ認めた。

 Appleは以前より、「Titan」と呼ばれる自動運転車開発プロジェクトを進めていると噂されているが、プロジェクトの見直しや自動運転システム開発への方向転換なども伝えられた。当初Titanプロジェクトを率いていたSteve Zadesky氏が今年初めに辞任し、指導者を失った同プロジェクトは頓挫したとの見方もあった(米BGR)。

 しかしAppleは、米運輸省が公開した自動運転車に関する連邦政府指針に対して意見書を提出していたことが今月初めに報じられた(関連記事:Apple、自動運転車について初めて言及 米当局への書簡で)。同社は書簡の中で、「輸送機関を含む多くの分野における自動運転システムの可能性に心躍らされている」などと述べた。

 Hitzinger氏の「LinkedIn」のプロフィールを見ると、同氏は2016年3月にPorscheを退社し、2016年4月以降「米国サンフランシスコベイエリアのとある技術企業」でエンジニアリング担当幹部を務めていることになっている。

 最初にこれを報じたドイツ誌「Manager Magazin」がHitzinger氏にインタビューしたところ、同氏は「直接社会に大きな影響を与えることがしたいと思ってPorscheを辞めた」と答えたが、どの会社に移ったかは明言しなかった。