米IDCが現地時間2016年12月15日に公表したVR(仮想現実)とAR(拡張現実)用のヘッドセット市場に関するリポートによると、これらを合わせた製品の2016年における出荷台数は約1030万台となる見通し。VR・AR用ヘッドセットは今後、年平均108.3%の成長率で伸び、2020年には7600万台に達するとIDCは予測している。

 同社の推計によると、2016年の出荷台数内訳は、VR用ヘッドセットが約1010万台、AR用ヘッドセットが約10万台。今後もしばらくは比較的低価格のVR用ヘッドセットがこの市場をけん引していくが、技術の低価格化や新規メーカーの市場参入が進むことからAR用ヘッドセットも勢いを増すとIDCはみている。

 IDCのシニアリサーチアナリスト、Jitesh Ubrani氏は「数百万人もの消費者がポケモンGOを体験し、法人分野では企業や開発者が米MicrosoftのHoloLensのようなヘッドセットを手に入れられるようになるなど、2016年はARに大きな動きがあった」と述べている。「ARは、スマートフォンに匹敵するような存在として、コンピューティングの世界に変化をもたらす方向に向かっている可能性がある」と同氏は指摘している。

 ただし、当面この市場で出荷台数シェアの大部分を占めるのはVR製品だとIDCは見ている。2016年は米Facebook傘下の米Oculus VR、台湾HTC(宏達国際電子)、ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)、韓国Samsung Electronics、米Googleといった主要プレーヤーが相次ぎVR製品を立ち上げた。今後1年間、さらに多くのメーカーが参入し、スクリーンレス型、テザード型、スタンドアロン型といったさまざまな製品が登場するだろうとIDCは予測している。

 IDCはVR・AR用ヘッドセットを3つのカテゴリーに分類している。1つは、スマートフォンを組み込み、その画面をディスプレーとして使用する「スクリーンレス・ビューワー」で、Samsungの「Gear VR」やGoogleの「Daydream View」がこれに当たる。

 2つめはパソコンやゲーム機などと接続して使う「テザード・ヘッドマウントディスプレー(HMD)」で、「Oculus Rift」「PlayStation VR」「HTC Vive」が該当する。3つめは、MicrosoftのHoloLensのように専用チップとOSを搭載し、単体で動作する「スタンドアロンHMD」だ。

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