FinTechベンチャーのKyash(キャッシュ)は2016年12月14日、スマートフォンを使って個人間で送金できるサービスを始めた。スマホ用アプリに手持ちのクレジットカード情報を登録するだけで利用できる手軽さが特徴。手数料は無料で、運転免許証などによる本人確認も必要ない。併せて同社は投資ファンドなどから総額10億円超の資金を調達したことも発表した。

Kyashの鷹取真一社長(中央)は「相手が店でも個人でも、いつでもどこでも無料で価値を移せる」とアピールした
Kyashの鷹取真一社長(中央)は「相手が店でも個人でも、いつでもどこでも無料で価値を移せる」とアピールした
[画像のクリックで拡大表示]

 同日、招待を受けた利用者に限ってサービスを提供するクローズドベータ版の提供を始めた。2017年初春にも、順次一般公開する。

 スマホ用アプリをダウンロードした利用者同士で送金できるサービス。電子メールやSNSアカウントを指定して送金する。

 特徴は同アプリ専用の仮想的なクレジットカードを同社が利用者に発行し、このカードを送金や支払いに使うことだ。発行するのは「Visa」ブランドのカード。同カードに利用者の既存クレジットカードから残高をチャージする。

 利用者は個人間の送金に加え、同カードを使って全国のVisa加盟店で買い物代金を支払える。利用者同士の送金は無料だが、KyashはVisaカードの発行体、いわゆるイシュアーとして、Visa加盟店から手数料を受け取って収益とする。

 「大学生などの若年層に多く使ってもらえるのではないか。現金による割り勘を置き換えたり、100円といった少額で寄付をしたりと、様々な生活場面での利用を想定している」。Kyashの鷹取真一代表取締役CEO(最高経営責任者)は、こう期待を語った。初年度に100万人の利用者獲得を目指す。

 同日に調達を発表した10億円超の資金は、ジャフコ、三井住友銀行、伊藤忠商事、電通デジタル・ホールディングスなどを引受先として実施した第三者割当増資によるもの。同社は三井住友フィナンシャルグループ、電通グループと業務提携も結んだ。