羽田空港の旅客ターミナルを管理する日本空港ビルデングは2016年12月14日、国内線第2旅客ターミナル内でロボットの大規模な実証実験を始めると発表した。清掃で4社、移動支援で5社、案内で8社の計17社のロボットが実験に参加する。実験期間は2016年12月15日~2017年2月13日の約2カ月。
同社は2020年に向けて空港でのロボット活用を進めるプロジェクト「Haneda Robotics Lab」を運営している。プロジェクトの狙いについて日本空港ビルデングの横田信秋社長は「日本の労働人口が減少するなか、ロボット技術の活用は不可欠。これまでも実証実験に取り組んできたが、優れたロボットの導入を加速するため、より幅広い形で実証実験を実施する。実際の空港での運用状況を基に、より実用的なロボット開発につなげてほしい」と語る。
同社で実証実験に携わる事業企画部の志水潤一次長は、空港サービスの中長期的な展望について「羽田空港の発着枠は、現状の年44.7万回が2020年頃に48.6万回へ増枠され、増枠分は国際線中心に振り分けられる。訪日外国人の増加が見込まれ、それに伴ってサービスのニーズも多様化するだろう。現在提供しているサービスだけでは十分に満足いただけない可能性がある」と指摘する。
同社によると、現在羽田空港では4万8000人が働いているが、生産年齢人口の減少といった中長期的なトレンドも踏まえ「空港スタッフがやった方がいいサービスと、ロボットでも代替できるサービスとを分け、空港スタッフは前者、ロボットは後者に専念して、サービス品質を高めていく。空港スタッフの肉体労働を減らし、従業員が健康上の理由で辞めるのを予防する狙いもある」(志水次長)とした。