米運輸省(DOT)は現地時間2016年12月13日、コネクテッドカーの導入に関する規制案を発表した。すべての乗用車に、近くを走行する車同士が情報をやりとりする車-車間(V2V:Vehicle-to-Vehicle)通信技術の搭載を義務づける。

 V2V通信技術によって車同士が「会話」することで、周囲360度の状況を認識し、衝突などの事故を避け、より安全な走行の実現を目指す。

 DOTの国家道路交通安全局(NHTSA)は2014年2月に、V2V通信技術の導入義務に向けた規制案の策定に着手した(関連記事:米運輸省、自動車のV2V通信義務化に向けて前進)。

 規制案では、自動車メーカーに対し、業界標準ベースの「同じ言語」で車同士が通信するV2Vデバイスの搭載を義務づける。V2Vデバイスは、車両の無線通信に特化した狭域通信(DSRC)を使用し、位置、方向、速度といったデータを近くの車同士で1秒あたり最大10回送受信する。衝突の危険性があればドライバーに警告を発し、自動運転車の場合は自動でブレーキをかけるなどして事故を回避する。

 またこれとは別に、DOTの連邦高速道路局(FHWA)は、車が信号や停止標識などの道路インフラと情報交信する車-インフラ間(V2I)通信に関するガイドラインを近いうちに公表する。

 NHTSAは、V2VやV2I通信技術の実装により、交差点や車線変更時に起きる衝突事故(飲酒や薬物による要因を除く)を最大80%削減できると考えている。

 V2V義務化が制定された場合、その4年後に新車全体への適用を見込んでいる。ただしDonald Trump次期米大統領と、Elaine Chao次期運輸長官がどのような判断を下すか不透明だと米New York Timesは報じている。

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