米Googleの親会社である米Alphabetは2016年12月13日(米国時間)、自動運転技術を商用化する子会社として「Waymo」を設立したと発表した()。WaymoのJohn Krafcik CEO(最高経営責任者)は声明で「我々の自動運転技術は個人の移動やライドシェアリング、物流、公共交通などに有用だ」と述べている。

図●Waymoのロゴ
図●Waymoのロゴ
出典:米Waymo
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 Googleは2009年から、研究開発部門の「X(かつての名称はGoogle X)」で自動運転技術を研究していた。Waymoは今後、売上高を計上する事業体として、自動運転技術を使った製品やサービスの実現を目指すことになる。

 Googleは2009年から自動運転技術を開発しており、2015年10月にはテキサス州オースチンの公道で、ドライバー不在の完全自動運転のテストを実現した(写真)。現在はカリフォルニア州マウンテンビュー、テキサス州オースチン、アリゾナ州フェニックス、ワシントン州カークランドの公道でテストを実施中で、60台の自動運転車を使用したテスト走行の距離は200万マイル(約320万キロ)以上に達した。

写真●Waymoの自動運転車
写真●Waymoの自動運転車
出典:米Waymo
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 また同社は1日当たり300万マイル(約480万キロ)に相当するコンピュータ上での運転シミュレーションも実行しており(Waymoによる説明)、シミュレーションでの走行距離数は2016年の1年間で10億マイル(約16億キロ)に達したとしている。

年間120万人に達する交通事故死者を無くす

 WaymoのKrafcik CEOは声明で、「世界で毎年120万人が命を落としている交通事故を無くすために、自動運転技術を開発してきた」「私の97歳になる母や目の見えない人が、より容易かつ安全に移動できる日が必ず実現できる」などと述べ、人間の代わりにコンピュータが運転する完全自動運転車の開発が社会的に意義のあることだと強調した。

 Googleはこれまで、トヨタ自動車の「プリウス」や「Lexus」ブランドのハイブリッドSUVを改造した自動運転車や、自社開発したハンドルやアクセルの無い自動運転車を使ってテスト走行を実施していた。またGoogleは2016年5月に、欧米自動車大手のFiat Chrysler Automobiles(FCA)と提携し、FCAのハイブリッドミニバン「Chrysler Pacifica」をベースにした自動運転車を開発すると発表しており、今後はどのような形で自動運転の商用化を実現するかが焦点となる。

 米国のWebサイト「The Information」は12月12日(米国時間)に、Googleが独自の自動運転車の開発を断念したほか、GoogleがFCAの自動運転車を使ったライドシェアリング・サービスを2017年末にも開始すると報道しているが、現時点でGoogleはこの報道に対してコメントしていない。