ネット企業の経営者を中心とした交流イベント「Infinity Ventures Summit(IVS)FALL KYOTO 2016」が、2016年12月6日と7日の両日に開催された。7日朝には、同イベント恒例となっているベンチャー企業によるピッチコンテスト「Launch Pad」が行われた(写真1)。過去には、クラウドソーシングサービスを提供するクラウドワークスや、クラウド会計サービスを提供するfreeeなどが優勝しており、文字通りベンチャー企業が飛躍するきっかけとなる「発射台」的なイベントだ。

写真1●IVSのピッチ・コンテスト「Launch Pad」
[画像のクリックで拡大表示]
写真1●IVSのピッチ・コンテスト「Launch Pad」

 今回登壇したベンチャー企業は14社。IVSのLaunch Padでは、その時期のトレンドを反映した顔ぶれが並ぶが、今回は実業と深く結びついた企業、あるいは既存の産業を大きく変える可能性がある企業が続々と登壇した。一時はソーシャルメディアなど若年層向けサービスが隆盛を極めた時期もあったが、大きく様変わりしている。

 13人の投資家や事業家による審査の結果、優勝を獲得したのは、SORABITOが提供する、建設機器の世界的な流通サービス「ALLSTOCKER」。法令点検が整備されていることから、比較的品質が高いとされる日本の中古建設機器を売買する流通プラットフォームを7カ国語で提供する。登録、貿易、物流、決済をワンストップでできるようにし、認定鑑定員やチャット機能などを用意しているのが特徴。今回のイベントでは、新サービスとしてオークション機能を発表した。

 第2位は、鮮魚や野菜など農作物の生産者と消費者を直接つなぐスマートフォン・アプリ「ポケットマルシェ」。小さな魚、曲がっているきゅうりなど、規格外という理由で破棄される食品が多いことに注目、既存のチャネルに乗りにくい生鮮品を生産者から消費者に流通させるサービスを事業化した。ポケットマルシェの代表の高橋博之氏は食材付きの情報誌「東北食べる通信」などで生産者とのパイプを確立、2016年にポケットマルシェをサービス化した。

 第3位は、seakが提供する就農者支援サービス「LEAP(Let's Agriculture Program)」。LEAPは、就農経験のない人が農業を始めるときに必要なものを一通り用意するワンストップサービス。ユーザー登録をすることによって、農地確保やオンライン学習といった事前手続きから、実際の農作物の安定的な収穫、販売までを支援する。大手資本が手がける植物工場とは違い、大きな設備投資を必要としない袋栽培のキットなどを用意している。

 第4位のLENDYは、クレジットエンジンが2017年1月から提供する予定の小規模ビジネス向け資金提供サービス。レストランや小売店などのビジネスオーナーが、自らの事業内容を登録していくと、その事業内容や実績などに応じて借入可能額を決定、資金提供をしてくれるというものだ。

 第5位は、CONCORE'Sが提供する、建設業界における写真管理の負担を軽減するサービス「フォトラクション」。建設現場では、5000~15万枚にも上る記録写真が撮影される。これらの撮影、整理、資料作成は事業担当者の大きな負担になっており、その割には経営資源に使われていないのだという。同社はこの作業プロセスを簡略化することに注力している。