格安PCボード「Raspberry Pi」を開発する英Raspberry Pi財団は、5ドルの格安版「Raspberry Pi Zero」を日本で2017年第1四半期にも発売する。Raspberry Pi Zero向けの公式ケースも2017年2月に世界で発売する予定だ。来日中のRaspberry Pi財団創設者のEben Upton氏が明らかにした。

日本でも発売する「Raspberry Pi Zero」
日本でも発売する「Raspberry Pi Zero」
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英Raspberry Pi財団創設者のEben Upton氏
英Raspberry Pi財団創設者のEben Upton氏
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 Raspberry Pi Zeroを販売する日本のパートナーについては、現在交渉中という。Zero用のケースは通常のRaspberry Pi用と同様に、白とラズベリー色を使うものになるという。

通常のRaspberry Pi用公式ケース。Zero用の公式ケースも同ケースと同じ色使いになるという
通常のRaspberry Pi用公式ケース。Zero用の公式ケースも同ケースと同じ色使いになるという
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 2015年11月に欧米で発売したRaspberry Pi Zeroは、価格が5ドルと安価なのが最大の特徴。通常のRaspberry Piと同じOSやアプリが動作し、性能はRaspberry Piの初期版とほぼ同じ。HDMIやUSBのポートもあり、デスクトップPCとして使える。最新のRaspberry Pi 3と比べると性能は6分の1程度だが、電子工作やサーバーの用途なら十分に使える。

 Raspberry Pi財団が発行する英文の月刊誌「MagPi」のミニバージョン「mini-MagPi」について、日本語版を2017年第1四半期に発行することも明らかにした。MagPiが約100ページなのに対して、mini-MagPiは20ページ程度。MagPiと同様に、月刊誌としてPDFで無償で配布する(MagPiは有償の紙版もある)。英国のMagPiサイトからダウンロードできるようになる見込みだ。

 通常版のRaspberry Pi(Model B)については「2017年に次期版を出すことはない」(Upton氏)と明言。Raspberry Pi 2が2015年2月、最新のRaspberry Pi 3が2016年2月に発表されたが、「2017年2月(の発表)はない。2017年はOSのRaspbianを中心としたソフトウエアの進化に注力し、安定したハードウエアの上で普及を図る」(同)という。

 公式のカメラやディスプレイについては、サイズなどでバリエーションを増やすことを検討しているが、具体的な計画はないそうだ。

 Raspberry Piは2016年9月に出荷台数が1000万台を突破し、現在は1100万台を超えた。年率40%増の成長を続けていて、2年で2倍となった。Raspberry Pi Zeroも30万台を出荷している。

■変更履歴
Raspberry Pi財団の創設者の一人であるEben Upton氏の肩書きを「Raspberry Pi財団」のCEO(最高経営責任者)としていましたが、正しくはRaspberry Pi財団でエンジニアリングや商業の部門を担当する「Raspberry Pi (Trading)」のCEOです。[2016/12/12 23:00]
ラズパイZeroの性能をRaspberry Pi 3の12分1程度としていましたが、正しくは6分の1程度です。[2017/02/21 19:30]
お詫びして訂正します。本文は修正済みです。