NTTコミュニケーションズ(NTTコム)は2016年12月5日~8日に開催された「Okinawa Open Days 2016」で、100Gビット/秒以上のパケット転送能力を持つルーターソフトウエア「Kamuee Zero」を発表した(同ソフトウエアの論文)。こうした高い転送能力を持つコアルーターは数千万円以上するが、Kamuee Zeroを利用すれば、200万円程度のサーバーで同等の転送能力を実現できるという。

「Okinawa Open Days 2016」での展示
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「Okinawa Open Days 2016」での展示

 ルーターの経路検索アルゴリズムとして、東京大学と共同開発した「Poptrie」という新しい方式を採用した。これにより高い経路検索機能を実現した。Poptrieは特許を取得したという(特許第5960863号)。

 パケット転送には、米インテルが開発した「DPDK」というライブラリを利用している。DPDKではPMD(Poll Mode Driver)という特殊なドライバーを利用することで、ネットワークソフトウエアがLinuxカーネルを介さずネットワークインタフェースと直接やり取りできる。

 パケット転送能力は、米スパイレント・コミュニケーションズのネットワーク負荷装置を使って測定した。IPv4のBGPのフルルート(インターネットのすべての経路)である約52万経路を想定して測定環境を構築した。BGPの動作にはルーターソフトウエア「Zebra」を利用した。Kamuee Zeroを動作させるサーバーと負荷装置を40Gビットイーサネットで接続し、宛先を完全にランダムにした128バイトのショートパケットを送信したところ、145Gビット/秒のパケット転送能力を達成したという。

145Gビット/秒のパケット転送能力を達成したところ
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145Gビット/秒のパケット転送能力を達成したところ