トヨタ自動車は2016年12月7日、幅広い企業や組織と協業して新事業を創出する「オープンイノベーション」を始めると発表した。「安心・安全」「クルマの利用促進」など五つのテーマを設定。トヨタが保有するデータや技術と、外部の知見や技術を組み合わせ、2017年以降の事業化を目指して新たなサービスを共同開発する。

オープンイノベーション戦略を発表するトヨタの村上常務
オープンイノベーション戦略を発表するトヨタの村上常務
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 「TOYOTA NEXT」の名称で、同日から協業相手の企業や組織の募集を始めた。「業容、規模の大小にこだわらず、ベンチャー、研究機関から、新しいテクノロジー、新しいアイデアを募集していく。人中心、ヒューマンセントリックなアイデアに基づくサービスを開発する企業を募る」(村上秀一常務役員)。

選考メンバーには村上常務(中央)のほか、デジタルガレージの佐々木智也執行役員SVP(左)、世界的なクリエーターであるレイ・イナモト氏(右)も加わる
選考メンバーには村上常務(中央)のほか、デジタルガレージの佐々木智也執行役員SVP(左)、世界的なクリエーターであるレイ・イナモト氏(右)も加わる
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 募集するテーマは五つ。「全ての人の移動の不安を払拭する安全・安心」「もっと快適で楽しい移動を提供するクルマの利用促進」「オーナーのロイヤルティを高める愛車化」「トヨタの保有するデータを活用したOne to One」「全国のトヨタ販売店を通じて提供するディーラー」の各サービスだ。

 協業に向けては、「トヨタ80年の歴史で培ってきたアセット(資産)を活用してもらいたい」(村上常務)。具体的には、今冬から本格的に販売する「コネクティッドカー(ネット接続機能を標準搭載した自動車)」から集められるデータ、国内5200店舗の販売店網やトヨタブランドのネットメディアといった消費者との接点、スマートフォンで開閉できるキーや法人向け運航管理といった自動車関連の製品やサービスなどだ。

トヨタが提供するアセットの一つである超小型電動自動車「i-ROAD」
トヨタが提供するアセットの一つである超小型電動自動車「i-ROAD」
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 「我々はスタートアップをはじめとする外部から、もっともっと学ばなければならない」。村上常務は、こう述べた。「スマホやソーシャルで顧客の生活が激変している中、トヨタという会社は変化に対応できているかと言えば、アベレージ以下」という反省があるからだ。協業相手を対等なパートナーとして、「ウィンウィンの関係を築きたい」(同)。