OSSのAPI管理ソフト「Kong」の開発を主導する米Mashapeは2016年12月7日、日本での製品販売を2017年1月に開始すると発表した。ブリスコラが代理店となり、企業向けのAPI管理ソフトスイート「Mashape Enterprise」を販売・サポートする。同製品はAPI管理のKongを中心に、開発者ポータルやAPIアナリティクスのソフトを組み合わせたものだ。

 Mashapeのマルコ・パラディーノ氏(チーフ・テクニカル・オフィサー)は「これまでは米国と欧州で活動してきたが、KongはOSSであるため色々な組織に採用されてきた。日本でのサポートのニーズが高まったため、今回ブリスコラをパートナーとして提供を開始することにした」と話す。日本におけるKongの採用企業の例として、楽天の名前を挙げた。

米Mashapeのマルコ・パラディーノ氏(チーフ・テクニカル・オフィサー)
米Mashapeのマルコ・パラディーノ氏(チーフ・テクニカル・オフィサー)
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 KongはAPIを安全、柔軟に公開するためのAPIゲートウエイと呼ばれる種類のソフトである。Webサーバーソフトの「Nginx」をベースに開発され、認証や流量制御、APIの変換といった機能を持つ。「従来はクローズドソースの商用製品が多かった。KongはOSSであるために人気を獲得できた。2015年に公開して、1年半で100万を超えるダウンロード数となった。APIゲートウエイとしては最も大きなコミュニティになっている」(パラディーノ氏)。

 OSSのAPIゲートウエイが注目を集める理由について、パラディーノ氏は「マイクロサービスではソフト内部の通信が重要になる。商用製品の中身は見えないが、OSSは動きの中身が見える」と説明した。また、営業上も有利だったという。「我々の顧客はマーケティング活動なしで獲得した。開発者がKongを使ってみて、拡張性の高さと軽さで好きになり、ソフトの採用をボトムアップに提案するような動きが多かった」(同)。

 12月中に最新バージョンの「0.10」を公開予定。ダイナミックロードバランシングやAWS Lambdaへの対応、データバックアップ、Webアプリケーションファイアウォール、OpenID連携、SOAPとRESTの変換といった機能を追加する。

 Kongを含むAPI管理ソフトスイートで、24時間365日のサポートが付いた「Mashape Enterprise」の日本での提供価格は未定。

 なお、MashapeはAPIマーケットプレイスとして始まった会社。KongはAPIマーケットプレイスの基盤をOSS化したものだ。ただ、この創業のビジネスは縮小する方針だ。パラディーノ氏は「APIマーケットプレイスについて、今は長期的な計画を持っていない。会社としてはKongを中核にしている。来年には社名もKongが付いたものに変えるつもり。API関連企業の買収も考えたい」としている。