日本ユニシスは2016年12月6日、同社の研究開発部門である総合技術研究所の取り組みを、メディア向けに公開した。東京本社のビル内に展示スペースを設け、「林業の発展をICTで支援」「VRヘッドマウントディスプレイ活用」「未来環境の創造と実現」「衛星データ活用による太陽光発電量予測」など12の研究テーマを展示した。羽田昭裕総合研究所長が「全ての研究テーマのなかから、応用が見えそうなものを選んだ」と話すとおり、ほとんどのテーマでデモンストレーションを実施していた(写真1)。

写真1●日本ユニシスの羽田昭裕総合技術研究所長
写真1●日本ユニシスの羽田昭裕総合技術研究所長
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 なかでも説明会に参加したメディア関係者の関心が高かったのが、研究テーマ「未来環境の創造と実現」のデモンストレーションだった。パソコンの前で指先を使って空中に文字を書くと、その文字がパソコンのディスプレイ画面に表示される(写真2)。パソコンに接続したモーションコントローラーで、指先の動きを検知している。モーションコントローラーは3次元で検知できるため、指先を前方に突き出すほど太い文字が書ける。

写真2●このパソコンの前で空中に文字を書くと、その文字がディスプレイ画面に表示される
写真2●このパソコンの前で空中に文字を書くと、その文字がディスプレイ画面に表示される
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 ただし、きれいな文字を書くには慣れが必要。このため、同社は検査項目のリストにチェックマークを書き入れるといった、文字を書く以外の用途で応用できないかを検討している。同テーマではほかにも、パソコンのディスプレイ画面に直接触れることなく、ジェスチャーだけでタッチ操作と同じことができるでデモンストレーションも実施していた(写真3)。

写真3●ジェスチャーでパソコンのディスプレイ画面を操作している様子
写真3●ジェスチャーでパソコンのディスプレイ画面を操作している様子
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 研究テーマ「林業の発展をICTで支援」では、小型無人飛行機のドローンを展示していた。同テーマは、山林の通信ネットワークをドローンで構築しようとする取り組みだ。通信機能を持つドローンを飛ばすことで、携帯電話サービスの電波が届かない山奥でも、「有害鳥獣出没センシング」「作業員の安全確認」など様々なICTの活用を可能にする(写真4)。一般社団法人九州G空間情報実践協議会と連携して、11月に実証実験を始めたところだ。

写真4●実証実験で利用されているドローン
写真4●実証実験で利用されているドローン
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 日本ユニシスは、同様の展示をこれまでは社内向けに限定して年2回の頻度で実施してきた。東京本社だけでなく中部地区や関西地区、九州地区など全国の支社でも実施。研究所のエンジニアが、現場の営業担当者やシステムエンジニアと意見交換する場としていた。研究所のエンジニアは現場のニーズを把握し、実用化を意識して自身の研究に取り組めるようになる。今回は、同研究所の取り組みをより広く知ってもらうため、初めて社外のメディア向けに公開した。