富士通は2016年12月5日、工場の製造設備から収集した稼働実績ログを可視化するソフト「FUJITSU Manufacturing Industry Solution VisuaLine」の提供を開始した。日々のグラフと比較することで通常よりも時間がかかっている作業などを一目で読み取れるようになり、設備の不調や老朽化などを発見できるという。

「FUJITSU Manufacturing Industry Solution VisuaLine」の線グラフによる可視化イメージ
「FUJITSU Manufacturing Industry Solution VisuaLine」の線グラフによる可視化イメージ
(出所:富士通)
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 どの部品を何時何分に何個作ったといった、製造設備が出力する稼働実績のログを可視化するソフト。一つの製品を生産する行程で使う全ての製造設備のログを使い、工程時間を波形で表現したグラフで可視化する。製造設備であればログの種類は問わない。

 ログの可視化によって、通常よりも遅延している箇所や、稼働当初よりも慢性的に時間がかかっている箇所などが、一目で把握できるという。異常箇所を誰でも簡単に発見できるようになり、従来であれば設備のアラームや稼働停止によって気付く異常を、事前の点検で未然に防げるようになるとする。

 オプションを適用すると、製造現場に設置したカメラとグラフを連携する。異常箇所など見たいグラフのポイントをクリックすると、現場で起こったことや取られた対策など、その時点の映像を確認できる。さらに、工程スケジュールの目標と実績値を比較する予実可視化や、製品ごとの製造ラインの動線を確認する設備可視化など可能になるという。

 新ソフトは、スタンドアローンで動作するパッケージソフトとして提供。基本ライセンスは月額7万9000円からで、オプションは月額2万4000円から。販売目標は2020年3月期までに3000ライセンス。

 新ソフトは2014年にオムロンの草津工場で実施した共同実証実験がベースとなっている。プリント基板の表面実装ライン(SMT工程)において製造設備のログを可視化したところ、6カ月で30%の生産性向上効果を確認したという。2016年には富士通アイ・ネットワークシステムズの山梨工場で実証実験を実施、停止時間25%削減を達成したという。