米Appleはこのほど、自動運転車について初めて正式なコメントを発したと、複数の海外メディアや通信社(米The Verge米Wall Street Journal英Reutersなど)が現地時間2016年12月3日までに報じた。

 これは、Appleが米運輸省の道路交通安全局(National Highway Traffic Safety Administration:NHTSA)に宛てた11月22日付の書簡で明らかになったもの。Appleは書簡の中で、同社がマシンラーニングとオートメーションの技術に多額の投資を行っていることに言及し、「輸送機関を含む多くの分野における自動運転システムの可能性に心躍らされている」などと述べた。

 Appleには「Titan」と呼ばれる自動運転車の開発のプロジェクトがあるとの観測が出ているが、これまで同社が正式に自動運転車について言及したことはなかった(関連記事:Apple、自動車開発の計画見直しか 人員を数十人削減)。

 これに先立つ今年9月、米運輸省は自動運転車に関する連邦政府指針を公開し、業界団体や自動車、テクノロジー企業などからの意見を募っていたが、Appleの書簡はその意見募集期限最終日に提出されたものという(関連記事:米当局、自動運転車の開発・導入に関する指針、全文をWebサイトで公開)。

 Wall Street Journalによると、すでに米Ford Motorや米General Motorsなどで組織する「Alliance of Automobile Manufacturers」が運輸省の指針にある、データ共有の実現可能性について疑問を呈しており、「競合企業の間で走行試験などの情報を共有することは実現困難で、不合理で、異例なことだ」と反発している。

 これに対しAppleは「情報源が特定されない形なら、事故やニアミスなどの事象経緯データを企業間で共有すべきという考えには同意する」とし、運輸省の指針に一定の理解を示した。

 Ford出身で、Appleプロダクト・インテグリティ(製品統合性)担当ディレクタ、Steve Kenner氏は書簡で、「データを共有することで業界は企業1社だけでは作成できない、包括的なデータセットを構築することができる」と述べている。その一方で同社は、技術革新を促すためには柔軟性のあるルールが不可欠とし、他のテクノロジー企業や自動車メーカーと同様に、指針づくりには民間の自主性が必要だとも述べている。