英ARMは2016年2日、都内で年次イベント「ARM Tech Symposia 2016」を開催した。基調講演では、2016年9月にARMを買収したソフトバンクグループの代表取締役副社長でソフトバンク代表取締役社長兼CEOの宮内 謙氏が登壇した。買収の狙いと戦略を語った。

ソフトバンクグループ代表取締役副社長、ソフトバンク代表取締役社長兼CEOの宮内 謙氏
ソフトバンクグループ代表取締役副社長、ソフトバンク代表取締役社長兼CEOの宮内 謙氏
(撮影:中尾 真二、以下、同じ)
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 宮内氏は冒頭、スマートフォンやタブレット端末などデジタルデバイスの市場動向に言及した。「2018年にはスマートフォンの国内台数は1億台を突破するとみられている。iPhoneがPCのインターネットからモバイルインターネットにパラダイムシフトを起こしたように、IoTが新たなパラダイムシフトを起こしている」と指摘。

 その背景には、CPUの進化、ストレージの進化、モバイルネットワークの進化の3つがあるという。宮内氏は、CPUの処理速度、ストレージのアクセス速度がこの20年間で100万倍となり、モバイルネットワークの通信速度は2.6万倍になっていると指摘。「このような進化がIoTを加速し、2015年には46億台といわれるIoTデバイスは2018年に157億台に達するとされている。これは、モバイルデバイスの86億台をはるかに超える」(宮内氏)と述べた。

CPU、ストレージ、ネットワークの性能はこれからも伸びる
CPU、ストレージ、ネットワークの性能はこれからも伸びる
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 この傾向はしばらく続き、今後はIoTデバイス、つまりPCやスマートフォン以外でインターネットに接続できるデバイスが主流になるという。ソフトバンクは、2035年に135億台というスマートフォンに対し、IoTデバイスは2750億台になると予測。宮内氏は、その予測をもとに「IoTデバイスによるグローバルでのM2Mトラフィックは2015年の1EB(エクサバイト)から2023年には3.2ZB(ゼタバイト)に増加する」とした。

2018年にはIoTデバイスがモバイルデバイスを超える
2018年にはIoTデバイスがモバイルデバイスを超える
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 ソフトバンクは、携帯電話の位置情報から電波状況の悪いエリアを解析したり、AI技術との併用でネットワークの障害復旧の80%を自動化したりといったIoTの取り組みを実施している。宮内氏は、「IoTとAIを組み合わせることでビジネスが進化し、金融取引の自動化などが進む」と可能性を指摘した。