エヌ・ティ・ティ・コムウェア(NTTコムウェア)は2016年11月30日、道路のひび割れや小さな陥没といった不具合を高い精度で発見する人工知能(AI)技術を開発した。ディープラーニング(深層学習)による解析により、市販のカメラで道路を撮影するだけで異常を検知できる。レーザー機器や人手による調査に比べてコストを削減できる見込みだ。2017年度にもサービスを提供する。

NTTコムウェアが開発した道路不具合を検知するAI(人工知能)システム
NTTコムウェアが開発した道路不具合を検知するAI(人工知能)システム
(出所:NTTコムウェア)
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 NTTコムウェアが開発したのは、深層学習を活用して安価な市販カメラでも精度を落とすことなく路面の不具合を検知できる手法だ。まず教師データとして、人が答えを付けた路面画像を深層学習に学習させ、不具合の特徴量を把握させる。カメラを車に搭載して、測定したい道路を走行しながら撮影するだけで路面状態を診断できる。GPS(全地球測位システム)と組み合わせることで、地図上に路面状態をひも付けられる。

GPSの情報と組み合わせて、路面状態を地図上にひも付ける
GPSの情報と組み合わせて、路面状態を地図上にひも付ける
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 道路の老朽化や不十分な管理による事故が問題となっている。現在は人手による路面調査が主流で、手間や時間がかかっていた。一部は専用車にレーザー機器などを搭載して調査する手法もあるが、機器の導入コストが高く、道路管理者の負担となっていた。NTTコムウェアビジネスインキュベーション部の箕浦大祐氏によれば、「今回開発した手法は、レーザー機器を用いる場合と比べて1~2桁コストが低くなる」という。

 従来はルールベースの画像認識技術を使っていたが、路面の不具合の状態はさまざまで精度が低かった。

 今後は、ALSOK(綜合警備保障)と連携して実証実験を進め、性能の改善やユーザー評価を実施する。NTTコムウェアは、同システムを橋や高架道路など社会インフラの維持管理などにも利用したいとしている。