インテルは2016年12月1日、医療分野においてどのようにITが活用されているかを紹介するセミナーを開催した。人間の動きや奥行きを赤外線カメラで計測するセンサー製品「RealSense」を手術室で活用している東京女子医科大学の事例などを中心に、ITによって変わる医療の姿を紹介した。

赤外線カメラを使って人の形状や奥行きを計測できる
赤外線カメラを使って人の形状や奥行きを計測できる
(出所:東京女子医科大学)
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画像閲覧システムを手の動きだけで操作できる
画像閲覧システムを手の動きだけで操作できる
(出所:東京女子医科大学)
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 現在の医療現場では、CTやMRIのデータは電子データとしてサーバーに格納されている。「RealSenseを使うと、手術中に、手で触れることなく、手の動きだけでIT機器を操作して、見たい画像を選択できる」──。東京女子医科大学の先端生命医科学研究所で悪性脳腫瘍の摘出を本業としている村垣善浩教授は、RealSenseのメリットをこう説明する。

 腫瘍の位置をAR(拡張現実)によってナビゲーションする使い方にもRealSenseを利用しているという。頭皮に簡単なARマーカーをいくつか付けるだけで、タブレットPCの画面上に患者の頭部と腫瘍の位置を表示する。

AR(拡張現実)マーカーを使って腫瘍の位置を表示する
AR(拡張現実)マーカーを使って腫瘍の位置を表示する
(出所:東京女子医科大学)
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 説明会の冒頭では、米インテルのセールス&マーケティング統括本部でグローバル・ヘルスケア&ライフ・サイエンス担当責任者を務めるジェニファー・エスポジート氏が登壇。ITを活用した医療の変革について説明した。大きく、コラボレーション型医療、分散型医療、個人向け医療、の三つが進むという。

 コラボレーション(連携)型の医療では、特定の場所に出向かなくても必要な情報にアクセスできるようになる。例えば、患者の場所をトラッキングしたり、病院内の移動経路を検索してナビゲートしたりといったことができる。医療データの重要性が増し、病院内にCMIO(最高医療情報責任者)という役職が設けられるようになるとジェニファー氏は指摘する。

 分散型の医療では、IoT(インターネット・オブ・シングズ)やウエアラブルセンサーなどを活用することによって、在宅医療や遠隔医療などが実現する。食事をした時刻など、様々な情報を収集して、これを医療に活用できるようになるという。

 個人向けの医療では、ビッグデータを分析するためのデータセンターが重要になる。これまでサイロ化されて分散されていた情報システムやデータを集約することによって、新たな知見を引き出せるようになる。

東京女子医科大学 先端生命医科学研究所 教授 村垣善浩氏
東京女子医科大学 先端生命医科学研究所 教授 村垣善浩氏
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米インテル セールス&マーケティング統括本部 グローバル・ヘルスケア&ライフ・サイエンス担当責任者 ジェニファー・エスポジート氏
米インテル セールス&マーケティング統括本部 グローバル・ヘルスケア&ライフ・サイエンス担当責任者 ジェニファー・エスポジート氏
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