IoT(モノのインターネット)関連製品を手掛けるPTCジャパンは2016年12月1日、東京・新宿でイベント「PTC Forum Japan 2016」を開催。そのなかで、ここ1年の業績や今後の戦略についてメディア向け説明会を開いた。ここ1年でIoT関連事業の売り上げが3倍近く伸びたことなどを明かした。
同社の製品で有名なのは、3次元CADソフトの「Creo」、製品の企画、製造、販売、保守など製品ライフサイクル全般のデータを管理するPLM(製品ライフサイクル管理)ソフトの「Windchill」など、製造業向けソフトだ。
現在はIoTにも注力している。2014年からIoT関連ソフトベンダーを次々と買収。IoTアプリケーションの開発実行環境である「ThingWorx」を製品ラインナップに加えている。
ThingWorxの特徴の一つは、工場内で稼働する製造装置などから、稼働データを取得できるようにしていること。装置メーカー各社が提供する150種類のデバイスドライバーを使って稼働データを取得し活用できる。さらに集めたIoTデータを表示する業務アプリケーションをノンプログラミングで開発できる。この手軽さもあって、ある調査会社の調べでThingWorxはIoTプラットフォーム製品の世界市場でトップシェアを持つ。
2015年10月から2016年9月までの会計年度では、ThingWorxを中心としたIoT関連事業の売り上げが前年度に比べて3倍近く伸びた。この9月まで、PTCジャパンの代表取締役社長を務めていた米PTCの桑原宏昭アジア太平洋地域統括責任者は、「Creoなど当社製品をこれまで採用していなかったものの、IoTの導入に積極的な新規の顧客企業を多く獲得できた」と説明する。
2016年10月からは、それまでの数年間、副社長を務めてきた宍戸武士氏が執行役員社長としてPTCジャパンを率いる。宍戸社長は「これまでのCADなどの分野のアプリケーション事業の土台を引き続き固めながらも、製造業向けにIoTプラットフォームを提供するベンダーという次のステップへと進んでいきたい」と意気込みを語った。
具体的には、「ハイテク、建機、重工、農機」「自動車」などの分野ごとに事業体制を整備。そのうえで、PLMなど主力製品に、IoTを加えたシステムを分野に合わせて提案していく。PTCジャパンのコールセンター要員を増やすなどして販促体制も強化する。
さらに日立製作所やNTTデータといった国内大手SIベンダーとIoT事業で組むことで、広くThingWorxを提案していく。「ThingWorxはIoTを手早く簡単に導入でき、結果もすぐ得やすい。そのメリットを広く認識してもらえるようにしていきたい」と桑原統括責任者は意気込みを語る。
宍戸社長は、「新規顧客企業に向けては、IoTを工場に適用するスマートファクトリーの実現手段として積極的にアプローチしていきたい。既存の顧客企業には、PLMなど当社製品を活用する企業に対しては、既存ソフトをグレードアップできる手段としてIoTを提案していく」と今後について語った。