米IDCが現地時間2016年11月30日に公表した世界のパソコン市場に関する調査によると、2016年の年間出荷台数は2億5820万台となり、前年実績から6.4%減少する見通し。

 同社は8月に出したリポートで、2016年の出荷台数が前年から7.2%減少すると予測していたが、今回これを上方修正した。同年第3四半期(7~9月)の出荷台数が前年同期比4.6%減となり、事前予測より2ポイント以上改善したことが理由の1つという。

 同年第3四半期は「Windows 10」への移行が一定の役割を果たしたが、米国、西欧、日本で勢いが増したことが市場改善に大きく寄与したという。またディスプレーパネルやストレージといった部品が不足するとの懸念から、流通チャンネルで在庫の積み増しがあったことも改善に寄与した。

 IDCは2017年以降の予測も若干上方修正した。今後市場は法人向けノートパソコンの緩やかな成長とともに安定化に向かうと同社は見ている。法人向けノートパソコンの出荷台数は2019年に前年比3.7%増となるなど、2020年までの予測期間全体を通して伸びるという。また法人向けデスクトップパソコンは2018年に横ばいに回復する見通し。これに対し消費者向けノートパソコンとデスクトップパソコンはいずれも2020年までの予測期間に若干減少すると同社は見ている。

 スマートフォンやタブレット端末の市場はいずれも成熟期に近づいており、これらの機器との競争による影響は小さくなりつつあるという。ただ、その利用法やデザインはノートパソコンに影響を及ぼしていると同社は指摘する。同社によると、従来型ノートパソコンから、超薄型ノートパソコンやコンバーチブル型ノートパソコンへの移行が加速している。2020年にはこれら機器の出荷台数は、ノートパソコン全体の約63%を占めるまでになると予測している。

 IDCが定義するパソコンとは、デスクトップパソコン、ノートパソコン、超薄型ノートパソコン、Chromebook、ワークステーションなどで、これには着脱式キーボードが用意されるタブレット(デタッチャブル型)は含まず、米AppleのiPadや米MicrosoftのSurface Pro、Androidタブレットなども含まない。