セイコーエプソンは2016年11月30日、企業内で発生した使用済みOA用紙を原料として新たなOA用紙へ再生できるオフィス製紙機「PaperLab(ペーパーラボ) A-8000」を2016年12月に発売すると発表した。再生過程で水を使わず、設置時に給排水工事が不要であるのが特徴。同社は、水を使わずに使用済みOA用紙を再生するオフィス向けの製紙機は世界初としている。価格はオープンで、予想実勢価格は2000万円台前半。向こう3年間に数百台、100億円の販売を見込む。

エプソンが発売する「PaperLab A-8000」
エプソンが発売する「PaperLab A-8000」
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 原料に使えるのはA4判またはA3判のOA用紙。紙を投入して運転すると、紙に物理的な衝撃を加えて繊維を綿状にほぐす。「布団を干すときにパンパンとたたくような動作を、紙に対して超高速で行うようなイメージ」(同社)。綿状の繊維からインクやトナーなどの異物を除去したうえで、結合剤を加えて加圧し紙状に成形する。

 成形時には、サイズをA4判またはA3判、厚さを90g/平方メートル~240g/平方メートルの範囲で指定できるほか、シアン/マゼンタ/イエロー/白の色素入り結合剤も用意しており、それらの組み合わせで色調・濃度の異なるカラーOA用紙を生産することも可能だ。最初の原料紙を投入してから再生紙が生産されるまでの所要時間は約3分。機器内に綿状の繊維が入っている状態であれば、約1分で再生紙ができあがる。生産速度は毎時720枚。

給紙部(左)から使用済みのOA用紙を入れると、排紙部(右)から再生紙が出てくる
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給紙部(左)から使用済みのOA用紙を入れると、排紙部(右)から再生紙が出てくる
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給紙部(左)から使用済みのOA用紙を入れると、排紙部(右)から再生紙が出てくる
PaperLabで生産した再生紙。黒っぽい粒が多少見え、再生紙であることがうかがえる
PaperLabで生産した再生紙。黒っぽい粒が多少見え、再生紙であることがうかがえる
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紙に衝撃を加えて綿状にし(左)、結合剤を加えて成形する(中)。再生過程で除去したトナーやインクなどがゴミとして出るが、水は排出されない(右)
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紙に衝撃を加えて綿状にし(左)、結合剤を加えて成形する(中)。再生過程で除去したトナーやインクなどがゴミとして出るが、水は排出されない(右)
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紙に衝撃を加えて綿状にし(左)、結合剤を加えて成形する(中)。再生過程で除去したトナーやインクなどがゴミとして出るが、水は排出されない(右)
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紙に衝撃を加えて綿状にし(左)、結合剤を加えて成形する(中)。再生過程で除去したトナーやインクなどがゴミとして出るが、水は排出されない(右)