米Intelは自動運転車開発に関して自動車部品メーカーの英Delphi Automotiveと提携を結んだと、英Reutersや複数の米メディア(Washington PostPCWorldなど)が現地時間2016年11月29日に報じた。Delphiは将来の完全自動運転車にIntelのプロセッサを採用する。

 Delphiは、イスラエルに開発拠点を持つ衝突防止技術のMobileyeと8月に提携合意しており、2年以内に完全自動運転車の実現に向けたソフトウエアを開発する。

 完全自動運転車では、レーダーやカメラ、各種センサーから送られてくる大量のデータをリアルタイムで処理する能力が必要とされる。Intelはこうしたニーズに対応するプロセッサを供給する。

 Delphiが取り組む完全自動運転車は、自社のレーダーやセンサー、Mobileyeのカメラおよびソフトウエア、Intelのプロセッサを組み合わせ、米カーネギーメロン大学から誕生したOttomaticaの人工知能(AI)技術も利用する。2019年の実用化を目指し、当初は空港のシャトルカーなど限られたエリアでの導入を想定している。

 Delphiはすでにシンガポールでテスト走行を実施しており、2017年に米国と欧州でもテストを始めたい考え。

 米New York TimesがIntelに確認したところ、Intelの広報担当者はDelphiとの提携を認めた。Delphiは「Core i7」プロセッサを使用し、その後、さらに高性能のIntel製プロセッサを採用するという。

 Delphiは2017年1月に米ネバダ州ラスベガスで開催される「Consumer Electronics Show(CES)」で自動運転システムを披露する予定で、その際、搭載プロセッサについても明かされると見られる。

 IntelはドイツBMWとも完全自動運転車の開発で7月に合意している。BMWとの提携にはMobileyeも加わっており、2021年までに完全自動運転車の量産開始を目指す(関連記事:IntelやBMWなど、2021年までに完全自動運転車量産へ)。またIntelは今月、自動運転技術の開発に向こう2年間で2億5000万ドルを投じる計画を明らかにしている(関連記事:Intel、自動運転技術開発に2億5000万ドルを投資へ)。