韓国Samsung Electronicsは現地時間2016年11月29日、最適な企業構造の実現に向け、持ち株会社の設立や国外での上場などを検討することを明らかにした。外部アドバイザーを起用して詳細な企業構造見直しを行う意向で、このプロセスには半年以上かかる見込みという。

 外国企業での経験を持つ複数の外部取締役を迎える計画も進めており、現在、社外アドバイザーと協力し、候補者の選定作業に入っている。2017年3月の株主総会には少なくとも1人を指名する見通し。

 また、コーポレートガバナンスの向上を目指し、新たな委員会を設置する。同委員会は社外取締役のみで構成する。

 さらに、長期的な株主価値創出に向けたロードマップも発表した。「2015年10月に発表した株主還元プログラムを拡大するもの」だとして、2016年と2017年にフリーキャッシュフローの50%を株主への還元にあてる。2016年の年間配当は前年より30%引き上げ、総額4兆ウオンを支払う。

 Samsungの株式の約0.6%を保有する米ヘッジファンドElliott Managementは、同社に対して企業構造の合理化や配当支払などを含む再編案を迫っていた。Elliottが10月にSamsung取締役会に送った書簡では、2社分割を提案し、1社がSamsungの持ち株会社となって韓国での上場を維持し、もう1社がSamsungの業務を引き継ぐ事業会社として韓国と米NASDAQに上場することを促した(関連記事:物言う株主の米ヘッジファンド、Samsungに2社分割を提案)。

 Elliottは大株主ではないが、Samsungが「Galaxy Note7」の発火問題によるリコールなどで後退を味わう中、他の株主もElliottの意見に賛同している(米New York Timesの報道)。

 なおElliottの提案の1つである、持ち株会社とSamsungグループの商社・建設会社Samsung C&Tとの合併については、Samsungは「現時点で考えていない」と述べた(英Reuters)。

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