米Hewlett Packard Enterprise(HPE)は現地時間2016年11月28日、新たなコンピュータ設計構想「The Machine」のプロトタイプの実証実験に成功したと発表した。

 The Machineは、コンピューティングの構造から見直し、CPUではなくメモリーを中核に据える。これにより、従来のコンピューティングプラットフォームでは不可能だった性能と効率の飛躍的な向上を実現するというもの。

 今回、The Machine研究プロジェクトの一環として開発した、「Memory-Driven Computing」アーキテクチャーベースのコンセプト実証(PoC)プロトタイプは、「過去60年間にわたって全てのコンピュータが基盤としてきたアーキテクチャーの変革を目指す当社の取り組みにとって画期的なこと」としている。

 同PoCプロトタイプは10月に稼働を開始。共有メモリープールにアクセスする複数の演算ノード、カスタムSoCに最適化したLinuxベースOS、フォトニクス(光通信)ネットワークなどで構築し、大容量の不揮発性メモリーを利用するよう設計された新しいソフトウエアプログラミングツールを動作させた。

 HPEによれば、設計段階のシミュレーションで数十倍の性能向上を予測していたが、同プログラミングツールはさまざまなワークロードで最大8000倍の高速処理を実行できたという。

 HPEは、The Machineプロジェクトで中心的役割を担ってきたMartin Fink最高技術責任者(CTO)が年内に退任することを6月に発表(関連記事:HPEが組織再編を発表、CTOなど幹部が年内退任へ)。その際、Fink氏が責任者を務めていた研究部門Hewlett Packard LabsをEnterprise Group事業に組み込み、年内にThe Machineベースのプロトタイプのプレビューを行う計画を明らかにしていた。

 なお、The Machineプロジェクトのもとで開発を進めている主要技術の実用化は2018年から2019年を目指している。

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