滋賀大学とPwCあらたは2016年11月25日、データサイエンスの分野で共同研究を開始すると発表した。滋賀大学は2017年4月に「データサイエンス学部」の開設を予定している。共同研究では、同学部の授業で利用する演習教材の開発、新たなデータ分析手法の開発、データ分析での人工知能(AI)の活用などを進めていく。

 滋賀大学は、これまでも滋賀銀行や京都銀行、地下タンクを製造する玉田工業といった様々な企業と、今回と同様な連携協定を締結している。各社が持っている実データを演習教材として利用できるようにする狙いがある。PwCあらたとは、企業が開示している有価証券報告書などのデータを利用してデータ分析を実践する演習教材を開発する。

 このほか、「不正会計予測モデルの基礎研究」「分析的手続き」「監査におけるAIの応用」などのテーマで、共同研究を進めていく予定だ。滋賀大学は、データサイエンス学部の新設に先立って2016年4月に、研究施設「データサイエンス教育研究センター」を開設した。PwCあらたとの共同研究は、同センターが拠点になる。

 滋賀大学が新設するデータサイエンス学部の定員は、1学年当たり100人。単純にデータを分析できる人材ではなく、分析した結果に基づいて新たな価値を生み出せる人材を育成することに力を入れている。滋賀大学が外部の企業や自治体と連携協定を締結するのも、学生が演習や研究で実データを利用できるようにすることで、価値創造を疑似体験させるためだ。疑似体験を通じて実践的なノウハウを身に付けさせることを狙っている。