欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会(EC)は米Microsoftの米LinkedIn買収を承認する見通しだ。ITニュースサイト「Neowin」や技術系ブログ「SiliconBeat」が英Reutersの報道を引用して現地時間2016年11月23日に伝えた。

 Microsoftは2016年6月に、LinkedInを262億ドルで買収する計画を明らかにした。ビジネスに特化したSNSを獲得することで、主要な企業向けプロダクトの拡大につなげたいと考えている。年内の手続き完了を目指しており、Microsoftにとって過去最大規模の買収案件となる。買収後、LinkedInは独立した事業体として運営を継続する。

 同買収については、市場競争の阻害やプライバシーの侵害といった懸念の声があり、特にLinkedIn買収を試みながらMicrosoftに敗れた米Salesforce.comが強く反対していた。

 Microsoftは先週、承認獲得に向けた譲歩案をECに提示したと報じられた。Reutersが複数の関係者から得た情報によると、その後、ECが競合サービスや顧客から受けた意見を基に若干の変更が加えられたという。

 譲歩案には、買収後もLinkedInの競合サービスにOutlookなどMicrosoftソフトウエアへのアクセスを提供すること、ハードウエアメーカーが競合のSNSをインストールできるようにすることなどが含まれる。

 ECは、12月6日までに判断を下す予定。なお、米国、カナダ、ブラジル、南アフリカでは、すでに当局が譲歩案の要求なしに同買収を承認している。