ソフトバンクは2016年11月24日、IoT(インターネット・オブ・シングズ)向けのLTE規格であるNB-IoT(Narrow Band IoT)を利用した実証実験を報道関係者向けに公開した。NB-IoTは遠距離通信可能な低消費電力の無線技術(LPWA:Low Power Wide Area)の一つ。LTE規格の一部として規定されており、免許事業者が提供するサービスである。

 「現状では1基地局で1000デバイスまでしかさばけない。これだと、2020年に157億台ともいわれるIoTデバイスの接続をまかないきれない。NB-IoTを導入することで、1基地局当たりの接続台数を最大で5万デバイスまで高められる」(技術統括 モバイル技術本部ネットワーク企画統括部統括部長北原秀文氏、写真1)。NB-IoTは同社が進めている「5G Project」の一環。第1弾として2016年9月に導入した「Massive MIMO」に続く第2弾となる。

写真1●NB-IoT通信モジュールを手に説明する北原秀文氏
写真1●NB-IoT通信モジュールを手に説明する北原秀文氏
ソフトバンク 技術統括 モバイル技術本部ネットワーク企画統括部統括部長
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 同社は11月16日にNB-IoTの実験試験局免許を取得。今回の実験はこの試験局を使った。実証実験はスマートパーキングがテーマで、利用者がスマートフォンで駐車場の空き状況を調べ、空いている駐車スペースを予約。予約後、利用者が自動車をそのスペースに停車すると、IoTデバイスが自動的に管理サービスに自動車の到着を通知。利用者が用件を済ませて駐車スペースを離れると、IoTデバイスが管理サーバーに通知して課金情報などをまとめるといった具合だ。

 このIoTデバイスとサーバーを結ぶ間の、IoTデバイス側の最後の部分をNB-IoTがつなぐ。ハードウエア構成はシンプルで、基本的に金属センサーと電池、それにNB-IoTモジュールを搭載したIoTデバイスを地中に埋め込んでおき、センサーの状態変化をサーバーに通知する(写真2)。「スマートパーキング」のサービスとしてはまだかなり完成度が低いが、NB-IoTの実証実験には十分な内容となっている。同社ではこの実験を通じて接続性などを検証して、2017年夏に実サービスを開始する計画だ。

写真2●駐車スペースに設置したIoTデバイス
写真2●駐車スペースに設置したIoTデバイス
ここでは仮設で実験するため地上に置いているが、実際には地中に埋設する