【速報】

新規事業で日本改革に挑む、DeNAの南場会長が講演

西村 崇=日経情報ストラテジー 2016/11/24


 2016年11月24日、日経BP社 日経ITイノベーターズが東京・目黒のウェスティンホテル東京で主催する「第2回イノベーターズサミット」で特別講演が行われた。

「第2回イノベーターズサミット」の特別講演に登壇したディー・エヌ・エーの南場智子取締役会長
写真:井上 裕康
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 登壇したのは、ディー・エヌ・エー(DeNA)の南場智子取締役会長。「DeNAの新規事業から日本の改革に挑む」と題して1時間にわたり、現在推進している2分野の新規事業と、社内で整えている新規事業の創出体制について語った。

 DeNAの主力は「Mobage」を中心としたゲーム関連事業だ。しかしそれだけにとどまらず、他分野での新規事業を推進している。講演で南場氏は、自動運転技術を駆使したオートモーティブ事業と、遺伝子の解析を含めたヘルスケア事業について紹介した。

 オートモーティブ事業は、DeNAが2015年5月に開始を発表した事業領域だ。その1つが、自動運転機能を組み込んだタクシーをスマートフォンから呼び出し、それに乗って目的地まで移動できるようにするロボットタクシーだ。

 南場氏は、「自動運転技術はかなり成熟してきている。普及すれば、交通事故の件数を減らせそうだ。しかし、一般には、自動運転に対する抵抗感が強い。そこで、交通手段に困っている高齢者や、過疎地などにいる人たちの課題を解決することを目指して、実証実験を重ねていき、社会に受け入れてもらえるよう取り組みを進めている」と話す。

 すでに、神奈川県藤沢市で実証実験を行い、安全面を確認したり、ロボットタクシーを呼び出すスマートフォン用アプリの使い勝手を検証したりした。「安全面で問題はなく、利用者の満足度も高かった」と、南場氏は振り返る。

 この事業を通してDeNAが狙うのは、自動運転技術などを活用した「モビリティサービスプロバイダー」になること。そのため、タクシーにとどまらず、自動運転バス「Robot Shuttle」の商用サービスを実証実験として手掛けたり、ヤマト運輸と組んでオンデマンド配送サービスなどの実証実験プロジェクトを企画したりしている。

 「1年余りで、オートモーティブ関連事業を5つ立ち上げたが、事業推進のスピード感はまだまだ。あと2倍に高めて、新規事業創出に挑みたい」と、南場氏は、意気込みを語る。

 特別講演で挙げた、新規事業のもう1つが、2014年から開始したヘルスケア事業だ。南場氏同様、それまで健康だった夫が大病を患ったあと、2年にわたって闘病生活をともに乗り切った。「夫が健康でなくなって後悔の念にさいなまれた。病気になって悔やむ人が減ることを願って、会社に戻った2013年、ヘルスケア事業の立ち上げに着手した」と、南場氏は経緯を語る。

 講演では、ヘルスケア事業の1つとして、遺伝子検査サービスである「MYCODE」を紹介した。東京大学医科学研究所と組んで、少量のだ液から遺伝子を解析して、280種類もの病気について、かかりやすいかどうかを検査できるようにしている。検査結果を基に、ネット経由で生活習慣についてのアドバイスをしたり、カウンセラーや臨床心理士によるアフターケアをしたりする。

 特徴は、日本人の体質や病気のかかりやすさを踏まえた検査ロジックを組み込んでいること。「医学研究の進展で新しい知見が得られたら、それを基に検査ロジックの見直しもしている」と、南場氏は明かす。

 2014年から開始しているこのサービス。利用者にアンケート調査をしたところ、全体の4割が「健康に対する考え方や、日々の行動に変化が生まれた」と回答したという。「ある利用者からは、検査結果を踏まえてすぐに精密検査を受けたところ、初期の胃がんが見つかり治療できたというメールをもらった。チームメンバーともども、提供しているサービスを役立てていただけたと感激した」と、南場氏は明かす。

 講演の最後、南場氏は、DeNAで新規事業を生み出しやすくするため、社内で共有している価値観を紹介した。

 価値観については、上司や自分自身にプラスになることを考えず、取り組む物事に集中すること、2000人の社員を擁する大企業になっても、ベンチャーの気質を失わないようにすることなどを紹介。そのうえで、新規事業創出の社内制度を紹介した。

 具体的には、スマートフォン向けアプリなどについて新しい企画が出てきたら、「予算が一定金額以下である」「法務部門のチェックをパスする」といった条件を満たせば、経営会議に通さずに、企画の実現に動いてよいといった社内の仕組みを紹介した。

 しかし、講演時間が足りず、当初予定していた社内体制の紹介は途中で終わりとなった。「続きはぜひ自著の『不格好経営』でご確認を」と会場を和ませて、特別講演を締めくくった。




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