韓国政府は、米Googleの親会社である米Alphabetが求めていた地図データ国外持ち出しの許可を拒否した。韓国国土交通部が現地時間2016年11月18日に発表したと、韓国の英字新聞「Korea Herald」のほか、複数の米メディア(New York TimesFortuneなど)が報じている。

 Googleは、韓国向け地図表示サービスで、運転経路や道順案内を含むフル機能を提供するために、韓国の地図データを国外拠点のサーバーに保存することを承認するよう6月に韓国政府に要請した。

 国土交通部は外交通商部などと同日協議し、北朝鮮に対する韓国の国家安全を侵害する恐れがあるとして、承認しない結論に至った。国土交通部によると、韓国政府は軍事施設の衛星写真など機密データ画像を低解像度にするといった補完的手段を提示したが、Googleが受け入れなかったという。

 Googleは2008年に韓国で地図表示サービスを正式に開始したが、3D地図や道路状況情報を除いた20%レベルのサービスにとどまっている。同社は2010年にも、米国やシンガポールなどにあるサーバーに地図データを送るための許可を韓国政府に要請したが、地図データの搬出を禁じる国家安全関連の法律に基づいて拒否された。

 Googleは、韓国での限定的な地図サービスは、2018年に同国ピョンチャンで開催される冬期オリンピックに訪れる外国人観光客にとってたいへん不便だと指摘しており、地元企業の海外展開や観光を推進する韓国当局の中にはGoogleを支持する意見もあるという。