竹中工務店は2016年11月18日、建設工事現場の作業所に設置したファイルサーバーのクラウド化を開始したと発表した。作業所の関係者が図面や工程表などを、工事現場や出先、本支店事業所から、パソコンやタブレットなどで参照できるようになる。新たに着工する作業所から順次利用を開始し、国内の全作業所の約8割に展開する予定だ。

 同社は2014年3月に「竹中スマートワーク」構想を発表。グループICT推進室を設置してITを活用した業務の効率化を図ってきた。2014年4月に約3000台の「iPad Air」や「iPad mini」を導入したのを皮切りに、既に約7000台のモバイル端末を導入している。図面のペーパーレス化を進め、工事現場でモバイル端末で図面情報を参照できるようにすることで、担当者が作業所に戻って図面を確認する手間を省くなど成果を上げている。

 従来はYSLソリューションズが提供する図面閲覧クラウドサービス「CheX(チェクロス)」を活用していた。今回ファイルサーバー自体をクラウド化することで、より多くの書類にアクセスできるようになり、利便性が高まる。

 クラウド化でBCP(業務継続計画)対策も強化する。従来は、ハード障害などによってファイルサーバーが利用できなくなった際、バックアップからのデータ復旧に時間がかかる場合があった。冗長化されたクラウドサービスの採用により、データ保全と業務継続を担保する。

 NTTコミュニケーションズのプライベートクラウドサービスを採用し、2016年5月から活用。業務に支障がない速度で資料にアクセスできることを確認したうえで、作業所への展開に踏み切った。今後は本支店事業所やグループ企業にもクラウドを導入していく予定だ。

写真は2014年のもの。当時は図面専用クラウドサービスを使っていたが、今後は作業所のファイルサーバーに直接アクセスできる
写真は2014年のもの。当時は図面専用クラウドサービスを使っていたが、今後は作業所のファイルサーバーに直接アクセスできる
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