ネットギアジャパンは2016年11月17日、無線LANルーターと子機を組み合わせた「Orbi」を発表した(写真1)。同日からECサイトAmazon.co.jpで予約受付を開始した。

写真1●ネットギアジャパンの「Orbi」。当面2台一組で販売する。
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写真1●ネットギアジャパンの「Orbi」。当面2台一組で販売する。

 「家屋の中心に無線LANルーターを設置できれば、たいていの家庭は1台で事足りる。しかし外部との通信回線は家庭の端から入ってくる。このため、家庭内で無線LANの電波が届かない箇所が生じる」(米NETGEAR Sr. Director Product ManagementのSandeep Harpalani氏、写真2)。これまではこうした場合に、中継器を設置して通信範囲を広げるしかなかった。

写真2●米NETGEAR Sr. Director Product ManagementのSandeep Harpalani氏
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写真2●米NETGEAR Sr. Director Product ManagementのSandeep Harpalani氏

 中継器は無線LANルーターと同じSSIDのチャネルを使って通信する。このため、中継器につながった端末の通信性能は、無線LANルーターに直接接続した場合に比べ最良の場合でも半減する。端末-中継器間の通信と、中継器-無線LANルーターの通信を同時に実行できないからだ。

 OrbiはIEEE 802.11acに対応したトライバンド(5GHz帯×2、2.4GHz帯×1)の通信を同時に実行できるルーターと、「サテライト」と呼ぶ専用の子機を使う。このうち5GHz帯の通信バンドの一つを無線LANルーターとサテライトの間の通信専用とする。このため、無線LANルーター-サテライト間とサテライト-端末間で同時に通信が可能になる。同社によると、接続端末が1台で約2倍、3台で約3倍の通信性能を実現できるという。

 またルーター-サテライト間では端末の接続状態などの情報を交換し合う。これにより、無線LANルーター側とサテライト側の電波状態のよいほうに端末の接続を自動で切り替えるといった処理が可能。こうした点から、同社はOrbiを単なる無線LANルーターとその中継器の組み合わせと違うことを示すため「Wi-Fiシステム」と呼んでいる。

 11ac対応のルーターの性能として、「1733Mビット/秒」などの表記はあるが、実際には3本以上のアンテナを装備した11ac対応端末はほとんど存在しない。Orbiでは無線LANルーターのとサテライトの間を4×4MIMOで結ぶ。11ac規格をうまく活用した方式と言えよう。

 価格は4万5800円で、出荷開始は2016年12月後半。同年12月15日までに予約したユーザーには5000円分のクーポンを発行して4万800円で購入できるようにする。ルーターおよびサテライトの単体販売も実施する予定。