サイバーエージェントは2016年11月17日、ブログやニュースといったネット記事が全体の何割くらい読まれているかを示す「読了率」を計測する技術を開発したと発表した。対象記事の閲覧者をランダムに選び、スクロール率や利用者の滞在時間の平均値を基に計測する。ただ表示されただけでなく、閲覧者が記事をどれだけ理解したかの目安にできる。記事広告などを通じて共感を広げる「コンテンツマーケティング」の企業に売り込む。

 コンテンツマーケティング向けの記事配信システム「A.J.A Recommend Network(アジャ・レコメンド・ネットワーク)」の新機能として追加した。同システムはサイバーエージェントが運営する女性向けメディア「by.S(バイエス)」のほか、ポータルサイトや新聞社のニュースサイトなどが採用している。

 同システムで配信したコンテンツについては、閲覧状況を詳細に測れる。導入メディアの閲覧者が見た記事の種類や回数、各記事を全体のうちどれくらいスクロールしたか(スクロール率)、記事を表示したままサイトにとどまっていた時間(滞在時間)などだ。

 新たな読了率計測技術を使うと、実際に記事を閲覧した利用者だけをサンプルとして抽出し、スクロール率や滞在時間を算出できる。対象記事を「読了した」と判断できる基準値も設定して、対象記事がどれくらい読まれているかを計測することも可能だ。

 読了率を測れることの利点は、コンテンツマーケティングの効果を知る目安にできることだ。コンテンツマーケティングで配信するネット記事は、内容を読んでもらって閲覧者に理解を促したり共感を広げたりすることを狙う。ただ表示されるだけでなく、内容の理解度を示す尺度である読了率が、効果測定の指標として重要になる。一般にバナー広告や動画広告は、商品などの認知度向上を目的にしている。

 同社は今後、読了率が高い傾向にある閲覧者と傾向が似ている閲覧者を抽出して、コンテンツを集中的に配信するといったサービスも計画している。