NTTデータとニューソンは2016年11月17日、スマートグラスを活用した「遠隔作業支援システム」を共同開発し、ニューソンが同日に販売を開始したと発表した。「ITシステムの保守運用、製造業の遠隔製造指示・保守など、様々な現場作業の支援に役立つ」(NTTデータ 技術革新統括本部 技術開発本部長 風間博之氏、写真1)。

写真1●NTTデータ 技術革新統括本部 技術開発本部長 風間博之氏
写真1●NTTデータ 技術革新統括本部 技術開発本部長 風間博之氏
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 遠隔作業支援システムは、データセンターなどの現場作業をする担当者がサーバーの画像をスマートグラスなどのスマートデバイスで撮影し、サーバーに伝送。その画像を遠隔地にいるマネジャーなど見て、音声で作業内容を遠隔で指示したり、スマートグラスに指示内容を送信したりできるシステムである。専用のパッケージソフトウエアをサーバーに導入し、クライアントのスマートデバイスとの間で音声や映像、作業マニュアルのファイルをやり取りする。クライアントには、AndoroidベースでAR(拡張現実)に対応するスマートデバイスを利用できる。主にスマートグラスでの利用を想定する。

 会見では、サーバーにグラフィックボードを装着する作業を、写真を確認しながら遠隔指示する様子をデモンストレーションした(写真2)。「騒音が大きな現場環境を想定し、首を振ったり、頭を向けたりして操作できるようにした」(NTTデータ 技術革新統括本部 技術開発本部 エボリューショナルITセンタ シニア・エクスパート 小山武士氏)。

写真2●スマートグラスを装着してのデモの様子
写真2●スマートグラスを装着してのデモの様子
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 特徴は、ユーザー企業など約100社以上との検証で得た意見を踏まえ、オフラインでの操作、遠隔地からのカメラ操作、1対多で映像を共有するための映像転送といった多様な機能を盛り込んだこと。さらに「多機能でも分かりやすいUIにした」(NTTデータの小山氏)と自信を見せる。

 利用する際には、パッケージソフトのライセンス料がサーバーとクライアントにそれぞれ発生する。サーバー向けのライセンス料は1年目が1台(仮想環境含む)当たり300万円。2年目以降は1台当たり年額60万円。一方、クライアントのライセンス料は、利用する機能によって変わり、1クライアント当たり年額7万2000円~15万円。このほか、サーバーやクライアントの設定などインテグレーション費用が別に必要。導入検討のための試験にも有償で応じる。

 ニューソンによると2017年度の売り上げ目標は1億4000万円。NTTデータは国内だけでなく世界各地で販売する計画。両社でソフトウエアライセンス料やインテグレーション費用などを含め、2020年度末までに100億円の売り上げを目指す。