米IBMは現地時間2016年11月15日、同社のGinni Rometty最高経営責任者(CEO)が次期米大統領に決定したDonald Trump氏に送った書簡を公開した。書簡では、雇用、インフラ、ヘルスケアなどについて提言し、「Trump氏が明言した志の達成に役立つと信じている」としている。

 Trump氏は選挙期間中、IBMが雇用の国外流出を先導しているなどと批判していた(英Computer Business Review(CBR)の報道)。

 Rometty氏は、IBMに就職するには大卒資格は必ずしも必要ではないと前置き、「当社は『ニューカラー』職を創出し、そのための人材を採用している」と述べた。同氏によれば、ニューカラー職はサイバーセキュリティ、データサイエンス、人工知能(AI)、コグニティブビジネスなどの分野における新しい役割という。

 またIBMが実社会での仕事経験も重視した新たな教育モデルの6年制の国内公立高校に関わっており、同社の支援で開校した第1校の最初の卒業生の一部をIBMが採用したことに触れ、このような職業訓練のアプローチを拡大し、米国で求められるニューカラー職に従事する才能ある人材集団を育てることへの協力を呼びかけた。

 次いで、Trump氏が米国のインフラに投資すべきだと発言したことに賛同の意を示し、「スマートなインフラ構築」を提案。IoT(インターネット・オブ・シングズ)技術とAIの組み合わせによりパフォーマンスを向上するインフラ投資に焦点を当てるべきだとした。インフラがスマートになるほど、サイバーセキュリティの必要性が増すことも強調した。

 ヘルスケアに関して、IBMはBarack Obama現大統領が2009年に就任した際に、データ分析による虚偽の保険申請の削減、ヘルスケア事業者間の情報交換の向上など、10年間で9000億ドル以上を節約する具体案を提言した。これら提案をアップデートし、より低コストでより優れたヘルスケアの推進に協力する意向を示した。

 さらに、政府が1兆ドル以上を節約するためにテクノロジーや不正分析を活用する方法について、最新の提案を準備すると述べた。

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