クラウドワークスは2016年11月15日、個人間でスキルを売買する新サービスを発表した。主に企業が個人へ仕事を発注する既存のクラウドソーシング事業に対して、新サービスは似顔絵や結婚式の動画制作、ちょっとした相談ごとなど、個人が自身の得意とするスキルを出品する。個人がより気軽にネット経由で仕事を受けられるようにして、クラウドソーシングをはじめとする同社事業利用者の裾野を広げる。

「黒字化のメドが立った。ここから効率化して、収益を高めていく」と話す吉田浩一郎社長
「黒字化のメドが立った。ここから効率化して、収益を高めていく」と話す吉田浩一郎社長
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 新サービスの名称は「WoW!me(ワオミー)」。10月17日に事前登録を始め、登録利用者数は5000人、出品スキル数は2000件を超えた。

 WoW!meは消費者同士が取引をする「C2C(CtoC)」と呼ばれる分野のサービスだ。「個人が持つ、裾野の広いスキルが流通するサービス。これまでのクラウドワークスは企業Webサイトの記事作成やサイトそのもののデザイン、翻訳など、どちらかというと内容が少し“堅い”ものだった」(成田修造副社長)。

占いや悩み相談などのスキルも「出品」できる
占いや悩み相談などのスキルも「出品」できる
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 同社はスキルの売買が成立した場合などの手数料を収益源と見込む。サービス開始当初は手数料を無料にして、幅広く利用者を呼び込む。早期に契約総額100億円を目指す。

 クラウドワークスは同日、2016年9月期通期の連結決算についても説明した。売上高に相当する営業収益は前期比51.3%増の12億2800万円、営業損益は5億9300万円の赤字だった。

 クラウドソーシング事業の会員数は2016年8月に100万人を突破。同事業の顧客企業数は9月時点で14万社近くに増えた。2016年9月期の総契約額は前期比62.9%増の45億7000万円となるなど、事業規模は拡大している。一方、事業拡大に伴う人件費や教育費、営業費の増加、有価証券の含み損などのため営業赤字となった。

 同社は上場時点から赤字が続いている。吉田浩一郎社長は業績推移について、「計画通りで順調だ」と説明。新規事業の推進や営業費用の圧縮などを進め、2017年9月期には四半期で黒字になるとの見通しを示した。