みずほ銀行が、2016年12月に開発完了を予定している勘定系システムの刷新プロジェクトを巡り、スケジュールを見直す検討に入った。同行は同年6月から総合テスト工程に入っているが、一部のテストを2017年1月以降に持ち越す可能性が出てきた()。みずほ銀行は2014年に、当初2016年3月としていた開発完了時期を約9カ月間延期している。再延期が確定すれば開発コストの増加を招くほか、老朽化した現行システムの利用が長引くことになる。

図●みずほ銀行が掲げてきた新期勘定系システムの開発スケジュール。これを再延期する可能性が出てきた
図●みずほ銀行が掲げてきた新期勘定系システムの開発スケジュール。これを再延期する可能性が出てきた
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 みずほ銀行によると、スケジュール見直しの議論を始めたのは、1~2週間前のこと。新たな重大トラブルが見つかったわけではないが、12月の開発完了時期が近づいたこともあり、「万全を期するという観点で、年内に完了するのが本当に得策かを検討している」(みずほ銀行広報)という。

 開発スケジュールを巡っては2016年初めにも、スケジュールの再延期を検討したという声がある。それに対して2016年7月の日経コンピュータによる取材には、「一部のサブプロジェクトで苦しい局面があったのは確か」(みずほ銀行)としながら、「今はオンスケジュールで進んでいる。全てのサブプロジェクトが総合テストに入っており、現時点で予定通りだ」としていた。一方で、「スケジュールは大事だが、品質重視で取り組んでいる」と、安全性を優先させる姿勢も示していた(関連記事:「全てのプロジェクトが予定通り総合テスト入り」、みずほ銀行の次期勘定系開発が大詰め)。

 みずほ銀行が掲げてきた2016年12月の開発完了は、あくまで総合テストなどの完了を指す。肝心のシステム移行時期については明言を避けているため、仮に開発完了時期が遅れても、新勘定系システムの本番稼働に影響があるかは厳密には不透明だ。ただし開発完了の再延期が、移行時期に影響を与える公算は高い。その間、みずほ銀行は老朽化した既存の勘定系システムを使い続けることになる。

 みずほフィナンシャルグループは、11月14日に中間期決算を発表する。その場で佐藤康博社長が、開発スケジュールの見直しについてコメントする可能性がある。