CRM(顧客関係管理)を推進するためにITベンダーやユーザーが共同で組織しているCRM協議会は2016年11月11日、東京都内で「2016 CRMベストプラクティス賞」の表彰式と事例共有会を開催した。サトーホールディングス、津市、三井住友銀行など14社・団体が受賞した。

 同協議会はCRMを「Customer-centric Relationship Management」と定義する。受賞した1社であるサトーホールディングスは、法人向けラベルプリンターなどの製品をIoT(インターネット・オブ・シングス)化し、稼働状況データを収集してアフターサービスの品質を向上させる「予知行動型CRMモデル」が評価された(関連記事:サトーホールディングス、IoT実装した産業用ラベルプリンタを展示)。

写真1●CRM協議会の藤枝純教会長(左)と、「2016 CRMベストプラクティス賞」を受賞したサトーホールディングスの小瀧龍太郎・代表取締役執行役員副社長最高執行責任者(COO)
写真1●CRM協議会の藤枝純教会長(左)と、「2016 CRMベストプラクティス賞」を受賞したサトーホールディングスの小瀧龍太郎・代表取締役執行役員副社長最高執行責任者(COO)
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 小瀧龍太郎・代表取締役執行役員副社長最高執行責任者(COO)は、「当社のお客様は小売や物流など多業種にわたる。お客様の困りごとを聞いてサービスを作ってきた結果行き着いたのがこのCRMモデルで、受賞したことを光栄に思う」と述べた(写真1)。

 津市は2年連続の受賞。「市民の皆様に尽くす」という行動規範に基づき、市民と対話しながら政策のPDCA(計画・実行・評価・改善)サイクルを回す地道な取り組みが評価された。前葉泰幸市長はビデオメッセージの中で「行政体にとっては、すべての市民が顧客。市民により高いレベルの行政サービスを行き届かせるには、市民との対話と地域連携が大事だ」と話した(写真2)。

写真2●ビデオメッセージを寄せた津市の前葉泰幸市長
写真2●ビデオメッセージを寄せた津市の前葉泰幸市長
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 三井住友銀行はリテールマーケティング部に新設された「IT戦略室」が中心となり、個人顧客の声を取り入れながらスマートフォン向け「SMBCダイレクト」アプリを開発するなどの取り組みが評価された。

 同部の磯和啓雄部長は、「1年ほど前にIT戦略室を立ち上げた。制服やスーツ姿が当たり前の行内で、唯一カジュアルな服装でもいいという組織にした。まだ始まったばかりだが、受賞を励みに、お客様からもっと『三井住友銀行のアプリは使いやすい』と言ってもらえるように頑張りたい」と語った(写真3)。

写真3●三井住友銀行リテールマーケティング部の磯和啓雄部長(右)
写真3●三井住友銀行リテールマーケティング部の磯和啓雄部長(右)
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 CRM協議会の藤枝純教会長は「CRMではお客様の声を聞きながら改善を続けるという姿勢が重要。1回受賞して終わりではなく、お客様の声を基に今後もどんどん新しい取り組みを推進してほしい」と述べた。

 「2016 CRMベストプラクティス賞」を受賞したのは、SMBC日興証券、SBI証券、サトーホールディングス、スカパー・カスタマーリレーションズ、セゾン情報システムズ、全日本食品、津市、ツムラ、東急コミュニティー、ビジョン、フォーラムエイト、ブロードリーフ、三井住友海上火災保険、三井住友銀行の14社・団体(50音順)。今後成果につながりそうなCRM実践事例を表彰する「2016 CRM奨励賞」はライフイズテックが受賞した(関連記事:ライフイズテックがオンラインプログラミング教育に参入、プラットフォーム「MOZER」発表)。