富士通は2016年11月11日、OSS(オープンソースソフトウエア)を使ったデータベース(DB)製品「FUJITSU Software Enterprise Postgres(以下、Enterprise Postgres)」を国内で販売開始したと発表した。OSSのDBソフト「PostgreSQL」に、同社が開発したデータ暗号化機能や集計処理の高速化機能を追加。11月末に出荷開始する。

 「IoT(インターネット・オブ・シングズ)などで収集するデータ活用に適したDB製品として、顧客の需要を取り込みたい」。富士通ミドルウェア事業本部 データマネジメント・ミドルウェア事業部の船橋幹雄 事業部長はこう話す。センサーが収集したデータや地理情報データなどの処理に強みを持つという。既に海外では提供しており、英国環境庁の洪水警報システムに導入実績がある。

 Enterprise Postgresは、PostgreSQLの最新版「PostgreSQL 9.5」を基に構成している。クレジットカード向けのセキュリティ機能「PCI DSS」に対応する暗号化機能を標準搭載したほか、インメモリーの集計機能や並列検索機能を搭載した。同じ処理をPostgreSQL 9.5で実施した場合に比べて、「検索集計処理速度が最大12倍に向上した」(船橋事業部長)という。

 買い取り形式の永久ライセンスではなく、サブスクリプション形式で提供するのも特徴。価格は、Standard Editionが1コア当たり年額21万2000円(税別)。Advanced Editionが1コア当たり年額114万円(同)で、利用者がソフト利用開始時に払う。このほかに初期費用は発生しない。

 富士通は、オンプレミスでもクラウドサービスと同様の従量課金方式を、ソフトのライセンス体系に導入し始めている。既に、同社のアプリケーションサーバーソフト「Interstage」、統合運用管理ソフト「Systemwalker」、データベース管理ソフト「Symfoware」などの主要製品に、月額課金方式を追加。初期導入コストを削減したい顧客の需要に応える。