米Appleは、すでに事業を停止している音楽ストリーミングサービス企業から、ひそかに人材や技術を取得していたと、複数の米メディア(米TechCrunch米9to5Macなど)が現地時間2016年11月8日までに報じた。

 それによるとAppleは、聴き放題音楽配信サービスをいち早く手がけていた英Omnifoneから従業員を雇い入れ、特定の技術も購入した。これに先立つ今夏、Omnifoneは破産法の適用を申請。その際、事業の売却先がAppleになるとの観測が流れたが、まもなくしてその観測には疑問符がつけられた。

 だが、今回のTechCrunchの報道によると、そうしたうわさの一部は真実だった。約16人の元Omnifone従業員のLinkedInプロフィールには、現在の所属企業としてAppleの名が書かれている。情報筋によるとAppleはこうした人材獲得に伴い、Omnifoneから複数の技術を取得した。Omnifoneはデジタルメディアの識別やストリーミング、ダウンロード技術に関する50以上の特許を持っていたが、そのうちのいくつかは「Apple Music」と「iTunes」に使われたという。Appleは今後もそれらの資産をApple Music関連のサービスに生かす考えではないかとTechCrunchは伝えている。

 Omnifoneの創業は2003年。同社は聴き放題音楽配信サービス「MusicStation」をハードウエアメーカーや通信事業者に提供していた(関連記事:[MWC2009]Omnifone,ISPとの提携による無制限音楽配信サービスへ)。TechCrunchによると、同社の顧客リストには、カナダResearch In Motion(現:BlackBerry)、韓国Samsung Electronics、Sony Ericsson(現:ソニーモバイルコミュニケーションズ)や大手通信事業者が名を連ねていた。