サイバーエージェントは2016年11月9日、国内の動画広告市場の調査結果を発表した。2016年の市場規模は前年比57%増の842億円と予測。昨年時点の予測である800億円を上回った。けん引役はスマートフォン向けで、前年比2倍となり動画広告全体の7割を占めるとした。

動画広告の市場規模予測(デバイス別)
動画広告の市場規模予測(デバイス別)
(出所:サイバーエージェント、以下同)
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 同社が運営する、動画広告に特化した研究機関であるオンラインビデオ総研が、市場調査会社のデジタルインファクトと共同で調査した。調査期間は2016年7月から9月で、動画広告市場関係者へのヒアリングや調査機関が保有するデータなどを基に調べた。

 中長期的に、スマホ動画広告の需要が市場拡大をけん引すると指摘。動画広告市場全体の規模は、2020年には2300億円ほど、2022年には2900億円を超えると予測した。

 背景にあるのが、スマホを使った動画コンテンツの増加。同社とテレビ朝日が手掛けるネットテレビサービス「AbemaTV」が4月に開始。Facebookなどのソーシャルメディア上でも、料理レシピの動画が人気を集めるなど、スマホ向けの動画コンテンツは存在感を増している。こうした状況を受けて、商品や企業のブランドイメージ広告やスマホ用ゲームのインストールや会員登録を促す広告の需要が高まっているという。

広告種類別の動画広告市場規模予測
広告種類別の動画広告市場規模予測
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 種類別にみると、最も多いのは動画コンテンツを視聴する前や視聴途中に再生される「インストリーム広告」で、2016年は439億円と全体の半分超を占める。

 同社は今後、「インフィード広告」と呼ぶ方式が急伸すると予測。2016年は前年比2.5倍の197億円、2022年にはその5倍超の1000億円規模に達するとみる。インフィード広告はWebサイトやスマホアプリの途中に設置した広告枠を、利用者が画面に表示したタイミングで動画を再生する方式だ。ニュースアプリの記事コンテンツ一覧画面に交えて表示するなど、画面の狭いスマホでも利用者の使い勝手を妨げないとされる。