米グーグルは2016年11月8日、企業向けクラウドサービス「Google Cloud Platform(GCP)」を日本国内のデータセンターから提供する「東京GCPリージョン」の正式運用を始めたと発表した(関連記事:Googleクラウドが日本上陸、大企業攻略の勝算とは)。台湾に続き、アジアで2番目の拠点に当たる。

写真1●Google Cloudプレジデントのタリック・シャウカット氏
写真1●Google Cloudプレジデントのタリック・シャウカット氏
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 Google Cloudプレジデントのタリック・シャウカット氏(写真1)は、「グーグルが検索やYouTubeなどの自社サービス向けに提供してきたのと同じコンピュータ性能とセキュリティ水準を日本から提供できる」と述べた。日本で先行するライバルの 「Amazon Web Services(AWS)」や「Microsoft Azure」に対する差異化のポイントとして、ビッグデータ・機械学習の扱いに長けている点を強調した。

 「我々は機械学習エンジンのTensorFlowを世に出し、グーグルのさまざまなサービスにも機械学習を適用してきた。細かな学習モデルのチューニングについて、他社にはないノウハウを持っている。CPUともGPUとも違う機械学習に適した独自チップ『TPU』の性能も提供できる」と同氏は述べた。(関連記事:TensorFlowでトンネル岩盤評価、地質専門家の頭脳再現米Googleが深層学習専用プロセッサ「TPU」公表、「性能はGPUの10倍」と主張

写真2●Google Cloud Platform日本事業統括の塩入賢治氏
写真2●Google Cloud Platform日本事業統括の塩入賢治氏
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 Google Cloud Platform日本事業統括の塩入賢治氏(写真2)は、「当社の技術スタッフがお客様と深く連携するために『Google Customer Reliability Engineering(CRE)』という組織体制を作った。GCPを使ったお客様のイノベーティブな取り組みを支援していきたい」と述べた。

写真3●「Google Customer Reliability Engineering(CRE)」と呼ぶ支援組織の適用例として「ポケモンGO」を紹介
写真3●「Google Customer Reliability Engineering(CRE)」と呼ぶ支援組織の適用例として「ポケモンGO」を紹介
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 CREは、米ナイアンティックがGoogle Cloudを活用して運営するスマホゲーム「ポケモンGO」に適用された(写真3)。急速に伸びるトラフィックをさばくために、ナイアンティックのスタッフと密に連携しながらコンピュータ資源を拡張していったという。

 東京GCPリージョンでは「Compute Engine」「App Engine Standard Environment」「Cloud Datastore」など主要サービスを利用できる。日本に拠点を置く企業から利用する場合、通信速度の向上を見込める。試験導入時に東京や大阪、札幌などで測定した結果によると、台湾リージョンを使う場合に比べてレイテンシー(通信の遅延時間)が50~85%程度改善したという。