日本IBMは2016年11月7日、アプリケーション開発・運用に特化したPaaSを社内ですぐに立ち上げられる新しいアプライアンス機「Bluemix Local System」の提供を開始した。同機はハードウエア上にIBMのPaaS「Bluemix」を自社サーバー上に構築するソフト「Bluemix Local」と、Bluemixと連携するシステム群の運用を自動化するソフト「PureApplication Software」をそれぞれ設定済みで導入している。価格は個別見積もり。

 同社でIBMクラウド事業本部取締役専務執行役員を務める三沢智光氏はBluemixを、顧客向けモバイルアプリなど顧客接点となるフロントのシステム群であるSoE(システムズ・オブ・エンゲージメント)を素早く開発するための環境と位置付ける。Bluemixと連携する基幹系システムの運用はPureApplication Softwareで自動化できるため、三沢氏は「Bluemix Local Systemを使うと基幹系システムと連携するアプリ開発に必要な環境を簡単に構築できる」と話した。

IBMクラウド事業本部取締役専務執行役員の三沢智光氏
IBMクラウド事業本部取締役専務執行役員の三沢智光氏
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 三沢氏によればBluemixの特徴は提供形態を豊富にそろえて、顧客のセキュリティガバナンスなどに応えやすいことという。IBMはBluemixをパブリッククラウドとして提供するほか、同社のデータセンターに顧客ごとの専用区画を設け、顧客専用のクラウドとして提供している。

 「この『Bluemix Dedicated』はパブリッククラウドでは難しいパッチ適用のタイミングを利用者が決められる」(三沢氏)。さらに今回、自社サーバー上にBluemixを構築できるようにした格好だ。三沢氏はクラウドサービスの中でも「PaaSに今後注力していく」と話した。

 日本IBMは2016年10月にIaaSである「SoftLayer」を「Bluemix Infrastructure」と改称し、同社のクラウドサービスのブランドをBluemixで統一した。同社は今後、Bluemix Infrastructureを基幹系システムを動作させるためのクラウドと位置付け、Bluemixは基幹系システムと連携するアプリを開発する環境としてアピールするという。

 Bluemix Local Systemには「コスト最適化エントリーモデル」と「高パフォーマンスモデル」がある。Bluemix Localが使えるのは高パフォーマンスモデルのみ。コスト最適化エントリーモデルはBluemix Localを含まずPureApplication Softwareが使えるアプライアンス機となる。