NTTデータは2016年11月4日、2016年4~9月期の決算を発表した。売上高は前年同期比4.9%増の7796億円、営業利益は同45.8%増の453億円で増収増益となった。国内の堅調な需要に加えて、海外での大型案件の受注や子会社の決算期統一により、事業セグメント別でも増収増益となった。好調な業績に加えて、米デルのITサービス部門(Dell Services部門)の買収が2016年度内に完了する見通しが立ったことから、2020年ごろの達成を目指していた中期経営計画を2年前倒しで達成する方針を明らかにした。

2016年4~9月期の決算を発表するNTTデータの岩本敏男社長
2016年4~9月期の決算を発表するNTTデータの岩本敏男社長
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 「(世界の主要市場で)トップ10に入る地域を拡大していく」。NTTデータの岩本敏男社長は、中期経営計画の見通しについて強気の姿勢を示した。新しい中期経営計画では世界でブランドを確立し、安定した成長を目指す。2018年度までに連結売上高を2兆円に、調整後連結営業利益額を2015年度比で50%増やす計画だ。さらに海外での売上高を増やし、国内と海外の売上高比率をおおむね50:50にするという。

 事業セグメント別に第2四半期実績の営業利益を見ると、社会インフラ向けITシステムを提供する「公共・社会基盤」セグメントは、前年同期比85億円増の145億円だった。官公庁向けビジネスの増益や不採算案件の減少が寄与した。「金融」セグメントは同40億円増の167億円だった。銀行やクレジット業界向けビジネスが堅調だったほか、不採算案件が減少した。製造業や流通業向けシステムを提供する「法人・ソリューション」セグメントでは、流通・サービス業界向け事業の規模拡大により同21億円増の154億円だった。

 「グローバル」では円高の影響や、大型買収に関わる費用がかさんだことなどが減益要因になったものの、オーストラリアでの大型案件の獲得や海外子会社における決算期統一などで、全体としては増益となった。のれん償却前の営業利益は、前年同期比16億円増の62億円となった。

 デルのITサービス部門を引き継いだNTT DATA Servicesでは、米国において主にヘルスケアや金融、ITO/BPO(ITアウトソーシング/ビジネス・プロセス・アウトソーシング)分野などに注力する。同買収に伴って北米市場におけるNTTデータグループ全体の事業割合は、業界別ではヘルスケア分野が33%に、サービス別ではITO/BPO分野が48%に高まる。市場規模の大きなヘルスケアに加えて、長期的契約を見込めるITO/BPOの事業割合が拡大することで、安定した成長を期待できるとする。

 NTTデータはデルからの買収の影響を受けて、2016年5月に発表していた2017年3月期の連結業績予想を上方修正した。売上高は5月時点の予想から200億円増の1兆6700億円、営業利益は据え置きの1050億円を見込む。円高の影響が500億円の減収要因になったものの、Dell Servicesの買収で700億円分の増収効果になるという。

■変更履歴
記事公開時、第5パラグラフの北米市場におけるNTTデータの事業割合、サービス割合を説明する記述に誤りがありました。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。 [2016/11/7 19:50]