米ゼネラル・エレクトリック(GE)の発電部門であるGEパワーは、2016年11月4日に東京・港で事業戦略説明会「GE Powering the Future」を開催。デジタル技術を活用した新たなサービスの構想を明かした。

 金融事業を売却するなど事業の選択と集中を進めるGEは、2015年に仏アルストムの発電・送配電事業を買収。日本ではガスタービンと蒸気タービンを組み合わせた「コンバインドサイクル発電」を強化したり、アルストムの顧客基盤を活用して電力会社以外の顧客を拡大していくといった戦略を打ち出している。GEパワー グローバルセールスのプレジデント、ジム・スーシュ氏は世界の発電市場の概況を説明したうえで、「日本市場は大きく成長しているわけではないが、規制緩和が進んで変化が激しい。イノベーションの起点と位置づけている」と話した。

GEパワー グローバル・パワー・セールスのジム・スーシュ プレジデント
GEパワー グローバル・パワー・セールスのジム・スーシュ プレジデント
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 そのカギと位置づけるのがデジタル技術だ。発電設備に多数のセンサーを取り付け、稼働状況などのビッグデータを取得して分析。発電設備の最適運用を支援するサービスを拡大していく。

 例えば、風力発電事業では、風車などの発電施設からデータを取得し、6~24時間後の発電量を予測するシステムをクラウド上で運用。インドでは電力会社が「契約した電力の15%以内なら正規の料金で販売。それ以上のブレがあるとディスカウントする」といった、機動的な料金設定ができるよう支援している。また天候によって、風車の羽根の制御パラメータをきめ細かく変更し出力を向上するサービスも提供している。

 日本では1つのサイトに複数の風車を設置するプラントが多い。この場合、最前面の風車の出力を大きく設定すると、この風車から発する風が後ろの風車の稼働に悪影響を及ぼし、出力が下がってしまうケースもあるという。これを防止するため、風車同士の影響などをシミュレーションし、「あえて最前面の風車の出力を落として、他の風車の出力を上げ、プラント全体の出力を増やす」といった対策も講じられるようになるという。

 GEパワー ジャパンの堀江渉プレジデントは、「従来も分析ソフトを提供してきたが、今後は分析業務ごと請け負う新たなサービスを展開していく」と話す。ただし分析担当者を国内で確保するのではなく、2015年に設立したGEデジタルの約2万人のデータアナリストが分析を請け負う。100種類以上の分析アプリを駆使し、出力最適化や故障予知などのサービスを提供する。