米Microsoftは2016年11月2日(米国時間)、業務用チャットサービス「Microsoft Teams」を発表した。ソフトウエア開発者を中心に人気を集める「Slack」対抗のサービスで、会話履歴がテーマ毎の「スレッド」で管理される点や、「GitHub」など外部サービスと連携できる点などが特徴()。

図●「Microsoft Teams」の画面ショット
図●「Microsoft Teams」の画面ショット
出所:米Microsoft
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 Microsoft Teamsは「Office 365」の企業向けサービスの一部として提供する。同日からOffice 365の企業ユーザーに対して、評価版のサービスを開始した。一般提供開始は2017年第1四半期の予定。

 業務用チャットサービスは、ソフトウエア開発者などチームで働く人々のコラボレーションを円滑化するための仕組みである。メールよりも気軽に情報を交換できるのが特徴。外部サービスと連携するAPI(Application Programming Interface)を備えており、「GitHubでソースコードを更新したことを、チャット経由でチームメンバーに自動的に周知する」といったことが可能。

 Microsoft TeamsからOffice 365の他のアプリケーションを呼び出すことも可能。グループチャットをしているチームメンバーと「Skype」でビデオ通話をしたり、Officeのドキュメントを共有・編集したりできる。

 Microsoftは企業向けソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の「Yammer」を2012年に買収し、現在はOffice 365のサービスの一つとして提供している。YammerとMicrosoft Teamsはほぼ同じ用途だが、Yammerのユーザーインタフェース(UI)が「Facebook」や「Twitter」に似ているのに対して、Microsoft Teamsは業務用チャットサービスで先行するSlackに酷似する。MicrosoftはSlackに対抗するために、新しいサービスを一から作り直したわけだ。

Slackは新聞の全面広告で応戦

 Slackの提供元である米Slack Technologiesは、同日付の「New York Times」に「Microsoftの参入を歓迎する」という全面広告を掲載し、Microsoftに応戦した(文面は同社公式ブログにもある)。Slackは2016年10月に、アクティブユーザー数が400万人、有料ユーザー数が125万人を突破したと発表している。

 Slackは全面広告で、Slack用のアプリケーションが750種類を超えたことや、ソフトウエア企業だけでなく、建築事務所や法律事務所などコラボレーション業務が必要となる様々な職場でSlackが利用されていることなどをアピール。Microsoftが参入することで、業務用チャットサービスの市場がますます活性化すると“歓迎”の意向を示した。