米IDCが現地時間2016年10月31日に公表した世界のタブレット端末市場に関する調査によると、同年第3四半期(7~9月)の世界出荷台数(速報値)は4300万台となり、前年同期から14.7%減少した。同社がこれまで公表してきた速報値をまとめると、タブレットの世界出荷台数は、これで8四半期連続し前年実績を下回った。一方、この第3四半期は大手メーカーが年末商戦に向けて準備を整えたことなどから、出荷台数は前の四半期と比べ9.8%増加した。

 2016年第3四半期の出荷台数をメーカー別に見ると、米Appleが930万台を出荷し、首位を維持した。これに韓国Samsung Electronicsが650万台で次ぎ、このあと米Amazon.comの310万台、中国Lenovo Group(聯想集団)の270万台、中国Huawei Technologies(華為技術)の240万台と続いた。

 このうちAppleの出荷台数は前年同期から6.2%減少したが、シェアは1年前の19.6%から21.5%に拡大した。Appleは上位モデルの「iPad Pro」の販売に力を入れているが、同社出荷台数の3分の2以上は「iPad Air」と「iPad mini」が占めた。一方、高価格帯のiPad Proが寄与し、Appleの売上高は横ばいにとどまった。

 また、Samsungの出荷台数は前年同期から19.3%減少し、シェアは1年前の16.0%から15.1%に縮小した。Samsungはスマートフォン「Galaxy Note7」のリコール問題を抱え、厳しい状況にあるが、この問題の影響は同社のタブレットには及ばなかったという。

 IDCはタブレット市場を「スレート型」と呼ぶ従来型端末と、着脱式キーボードが用意されている「デタッチャブル型」の2つのカテゴリーに分けて分析している。現在の市場における出荷台数は大半が前者のスレート型だが、このカテゴリーの製品は伸び悩んでいるという。

 IDCによると、Samsungはスレート型への依存度が高く、出荷台数を大幅に減らした。2016年に市場投入したデタッチャブル型の「Galaxy TabPro S」は、価格競争力が低いことなどから他社製品に後れを取っているという。

 出荷台数ランキングで3位に入ったAmazonの強みは、製品価格の低さとブランド力だという。同社は7月に実施したPrime会員向けのセール「Prime Day」が奏功し、スレート型タブレット「Fire」シリーズの販売を伸ばした。9月に発売した「Fire HD 8」も今年の年末商戦で好調に売れるだろうとIDCは予測している。Amazonの同年第3四半期における出荷台数は前年同期から319.9%増と大幅に伸びた。ただし、これは前年同期にAmazonの6インチタブレットを統計データに加えていなかったことが要因の1つだとIDCは説明している。

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